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[MOM3749]前橋育英FW高足善(2年)_流経柏MFの兄の分も…“緊急出場”159cmFWが「予測」で掴み取った2得点

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FW高足善(2年)が2得点を決めて勝利に導いた

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[1.2 選手権3回戦 前橋育英2-1鹿島学園 熊谷]

 1回戦、2回戦といずれも途中出場。2回戦の三重高では得点も決めていたFW高足善(2年)だったが、前半途中では流石に準備が出来ていなかった。

「ベンチで座っていたら、(守屋)練太郎さんが怪我をしたのが分かった。そこでコーチにアップしろと言われて靴紐を結んでいたら出番を言われて…。ビックリしました」

 前橋育英高(群馬)は前半終了間際にFW守屋練太郎が負傷交代。前半アディショナルタイムですぐにハーフタイムを迎える時間帯だったが、選手交代を余儀なくされた。「何をしていいか分からなかった」。交代で入った高足は、気持ち的にもなかなか乗り切れなかったと振り返る。

 しかしそんなチームのピンチをチャンスに変えたのも高足だった。後半17分、MF徳永涼(2年)の出したスルーパスのこぼれ球からDF大竹駿(3年)のクロスが上がる。「大竹さんが良いクロスを上げてくれたので触るだけでした」。159cmの高足が頭で押し込み、先制点が決まる。

 5分後に同点とされた前橋育英だったが、後半39分、またも大竹の上げたクロスからゴール前でチャンスが生まれると、MF笠柳翼(3年)のシュートは相手GKに防がれたが、高足がこぼれ球に詰める。緊急出場の2年生がヒーローになった。

 2点とも高足の最大の武器である“予測”が光った場面だった。決勝点の場面についても「小池(直矢)に2枚がつられていたので、こぼれて来るかなと思った」と振り返ったように、身長が小さいことで中学校の頃から予測しながらプレーすることを磨いてきたという鋭いサッカー眼が大一番で活きた。山田耕介監督も「クロスがどこに落ちるのかを予測する力がある。体が小さいのでそのことばかり考えてきたんだと思う」と信頼を語る。

 また、「小さい頃からライバルであり憧れ、尊敬で出来るお兄ちゃん」だと話す1歳年上の高足龍は、流通経済大柏高の3年生。今大会のメンバー入りし、1回戦の近大和歌山高戦ではフル出場を果たしていた。流経大柏が1回戦で敗れたため、夢の直接対決こそならなかったが、無料通信アプリ『LINE』を通じて「兄のためにも優勝したい」とメッセージを送ったという。

 チームは優勝した17年度大会以来となる8強に進出。さらに今年度は17年度チームでも果たせなかったプレミアリーグ昇格を勝ち取ったチームでもある。「3年生はプレミア上げてもらったり恩返しする気持ちが強いです」。目指すはもちろん頂点。大津高との準々決勝に向けても「育英らしいサッカーを貫いて勝ちたい」と力強く意気込んだ。

(取材・文 児玉幸洋)
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