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土のグラウンドで技術と判断力磨く佐賀東はベスト16敗退も、「獲ってくれる」世代が意地の1点

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佐賀東高は意地の1点。後輩たちが新たな歴史を作る

[1.2 選手権3回戦 佐賀東高 1-3大津高 熊谷]

「必ず点数を獲ってくれるような、本当にゴールへ向かって行く姿勢は今までの中でも長けていたなと思っています。あと無得点で終わったというのがほとんどなかったものですから、そういうところは魅力的だったと思います」

 佐賀東高の蒲原晶昭監督は試合後のオンライン取材対応で、現3年生の世代について問われると、彼らの魅力についてそう説明した。“必ず点数を獲ってくれるような”チームは今年、九州新人大会で初の決勝進出。佐賀県内では新人戦、インターハイ予選、選手権、1部リーグ戦の4冠を達成し、今回の選手権では前回王者・山梨学院高(山梨)を破ってインパクトを残した。

 だが、この日の前半は相手を警戒しすぎた部分もあって後ろ重心に。前半はボールを奪ってもなかなか前進することができず、いずれも得点力を備えたMF中山琉稀(3年)とMF森田悠斗主将(3年)の両翼になかなか良い形でボールを繋ぐことができなかった。

 そして、前半28分にアンラッキーな形から失点。それでも、GK松雪翔吾(2年)やCB 仁田尾颯真(3年)が相手の決定的なシュートをブロックするなど2点目を許さない。後半には新潟内定の日本高校選抜MF吉田陣平(3年)を左サイドへ移し、また前からのディフェンスを強めて流れを引き戻す。

 27分にCKから2点目を奪われたが、直後の30分、FKのこぼれ球を森田が左足でねじ込む。熊本県予選から6試合連続無失点中だった大津高の記録を止める1ゴール。だが、次の1点を奪うことはできず、1-3で競り負けた。

 16年度以来2度目のベスト16入りを果たしたが、初のベスト8には届かず。森田は「自分らがベスト8以上行けば、人工芝をプレゼントできた」と悔しがった。20年、21年と日本高校選抜の指揮を執ってきた蒲原監督の指導の下、普段は土のグラウンドで技術と判断力を磨き、今年度は指揮官の志向するポゼッションと得点力も武器にベスト16。だが、新たな歴史と“人工芝”は来年以降へ持ち越しとなった。

 蒲原監督は「一発勝負は背後のノーリスクとかあるんでしょうけど、それでもウチはできるだけ繋ぎたい。(今日は時間を与えたらすぐに大津のFに囲まれてしまったので、)行くぞと思わせながらサイドチェンジして数的優位をつくるとか、繋ぐと見せて背後を取ってタメを作ってもう一回剥がしにかかるとか、同じポゼッションでも幅とか裏とか表とかそういうのも含めて相手の逆を取っていかないといけないと思っています」。U-17日本高校選抜のCB宝納拓斗(2年)や松雪、県予選決勝2発のFW小嶋悠央(2年)らを残す22年度はより自分たちの武器を磨き、より強いチームになってベスト8を達成する

(取材・文 吉田太郎)

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