GK佐藤がMVP級の好守連発、MF一村が歴史変える決勝弾…選手権初4強の大津で輝く“中体連”組「平等にレギュラーを目指せる環境がある」
[1.4 選手権準々決勝 大津高 1-0 前橋育英高 フクアリ]
史上初のベスト4入りを果たすべく、試合終盤は防戦一方となっていた大津高。交代選手の投入で勢いに乗る前橋育英高の攻撃に対し、決壊するのは時間の問題かとも思われたが、最後に立ちはだかったのは191cmの長身を誇る世代屈指の守護神だった。
大津の山城朋大監督は試合後、U-18日本代表候補GK佐藤瑠星(3年=合志市立合志中)の活躍を率直に称えた。
「本当に押し込まれて何度も難しい場面があった。彼の勇気を出したハイボールの飛び出し、シュートストップがなければ何点入ってもおかしくなかった。今日は佐藤が最優秀選手かなと思う」。
大津はこの日、立ち上がりからボールを一方的に握られ、前半7分のFW守屋練太郎(3年)のシュートを皮切りにヒヤリとするシーンが多発。同11分の先制後はいっそう守勢がハッキリし、耐え抜く時間帯が続いた。ところが、そのたびに佐藤のビッグセーブで難局を打開。5-4-1で割り切った終盤も、佐藤の正確なハイボール処理で何度もピンチをしのいでいた。
熊本県予選は全試合でクリーンシートを達成し、今大会でも佐賀東高戦(○3-1)の1失点のみと堅守が光る大津。その秘訣は「プレミアリーグでやっていたような粘り強い守備が継続できている」(山城監督)という積み重ねに加えて、「ハイボール、シュートストップは自信になっている」(佐藤)と成長を遂げてきた守護神の存在が大きい。
中体連出身の佐藤は合志中2年時、大津OBで同校でGKを務めていた佐藤達朗先生からの勧めでGK転向を果たした“後発組GK”。他のGKに比べれば経験は浅いが、キャッチングなどの基礎技術はすでに高いレベルにあり、今年春にはU-18日本代表候補メンバーにも選ばれた実績を持つ。
こうした中体連出身者の飛躍は大津のカラーでもある。日本代表にも上り詰めたFW巻誠一郎、DF車屋紳太郎、DF植田直通がその代表格だが、今大会のレギュラーでも佐藤のほか、ゲームメークのできる長身ボランチMF薬師田澪(3年=宇城市立小川中)、準々決勝で決勝点を挙げたドリブラーのMF一村聖連(3年=甲佐町立甲佐中)が県内中学出身。神奈川からの越境入学組の長身ストライカーFW小林俊瑛(2年=藤沢市立鵠沼中)も下級生ながらエースを担っている。
山城監督はこの日決勝点を挙げた一村を「彼の良さは野生的なドリブルで、人とリズムが違う。初めて対峙するDFが結構苦労しているのかなという印象を受けている。全国大会で彼の突破がより生きていると感じている」と称えた上で、中体連出身者の個性を次のように評した。
「公立中の選手についてはクラブの選手より特長を持っている選手が多い印象がある。最初の総合値的にクラブ育ちの子よりスタートラインより下にいても、ストロングポイントを発揮しやすいところ、『こういうのはできます』という子がいて、そういう子を“できること”から育てていくのが平岡(和徳)総監督の方針。一村だったらドリブル、薬師田だったらキック、そういった良さを出すような状況を作って、できるところからやらせていって自信を磨いて、そこから他のところを伸ばしている。中体連から入ってきた選手でも平等にレギュラーを目指せる環境が大津高校にはあると思っている」。
史上4回目の準々決勝挑戦で、初のベスト4進出を果たした大津。その強さの陰には、個性を育てて磨く——。そうした伝統の積み重ねがあるようだ。
(取材・文 竹内達也)
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史上初のベスト4入りを果たすべく、試合終盤は防戦一方となっていた大津高。交代選手の投入で勢いに乗る前橋育英高の攻撃に対し、決壊するのは時間の問題かとも思われたが、最後に立ちはだかったのは191cmの長身を誇る世代屈指の守護神だった。
大津の山城朋大監督は試合後、U-18日本代表候補GK佐藤瑠星(3年=合志市立合志中)の活躍を率直に称えた。
「本当に押し込まれて何度も難しい場面があった。彼の勇気を出したハイボールの飛び出し、シュートストップがなければ何点入ってもおかしくなかった。今日は佐藤が最優秀選手かなと思う」。
大津はこの日、立ち上がりからボールを一方的に握られ、前半7分のFW守屋練太郎(3年)のシュートを皮切りにヒヤリとするシーンが多発。同11分の先制後はいっそう守勢がハッキリし、耐え抜く時間帯が続いた。ところが、そのたびに佐藤のビッグセーブで難局を打開。5-4-1で割り切った終盤も、佐藤の正確なハイボール処理で何度もピンチをしのいでいた。
熊本県予選は全試合でクリーンシートを達成し、今大会でも佐賀東高戦(○3-1)の1失点のみと堅守が光る大津。その秘訣は「プレミアリーグでやっていたような粘り強い守備が継続できている」(山城監督)という積み重ねに加えて、「ハイボール、シュートストップは自信になっている」(佐藤)と成長を遂げてきた守護神の存在が大きい。
中体連出身の佐藤は合志中2年時、大津OBで同校でGKを務めていた佐藤達朗先生からの勧めでGK転向を果たした“後発組GK”。他のGKに比べれば経験は浅いが、キャッチングなどの基礎技術はすでに高いレベルにあり、今年春にはU-18日本代表候補メンバーにも選ばれた実績を持つ。
こうした中体連出身者の飛躍は大津のカラーでもある。日本代表にも上り詰めたFW巻誠一郎、DF車屋紳太郎、DF植田直通がその代表格だが、今大会のレギュラーでも佐藤のほか、ゲームメークのできる長身ボランチMF薬師田澪(3年=宇城市立小川中)、準々決勝で決勝点を挙げたドリブラーのMF一村聖連(3年=甲佐町立甲佐中)が県内中学出身。神奈川からの越境入学組の長身ストライカーFW小林俊瑛(2年=藤沢市立鵠沼中)も下級生ながらエースを担っている。
山城監督はこの日決勝点を挙げた一村を「彼の良さは野生的なドリブルで、人とリズムが違う。初めて対峙するDFが結構苦労しているのかなという印象を受けている。全国大会で彼の突破がより生きていると感じている」と称えた上で、中体連出身者の個性を次のように評した。
「公立中の選手についてはクラブの選手より特長を持っている選手が多い印象がある。最初の総合値的にクラブ育ちの子よりスタートラインより下にいても、ストロングポイントを発揮しやすいところ、『こういうのはできます』という子がいて、そういう子を“できること”から育てていくのが平岡(和徳)総監督の方針。一村だったらドリブル、薬師田だったらキック、そういった良さを出すような状況を作って、できるところからやらせていって自信を磨いて、そこから他のところを伸ばしている。中体連から入ってきた選手でも平等にレギュラーを目指せる環境が大津高校にはあると思っている」。
史上4回目の準々決勝挑戦で、初のベスト4進出を果たした大津。その強さの陰には、個性を育てて磨く——。そうした伝統の積み重ねがあるようだ。
(取材・文 竹内達也)
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