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国立目前で惜敗も、桐光学園は逆境力と反骨心発揮して8強。鈴木監督「誇りに思います」

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桐光学園高は国立には届かなかったが、堂々の全国8強。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.4 選手権準々決勝 桐光学園高 0-1高川学園高 等々力]

 12年度以来の8強進出。先に失点するとキツくなる80分ゲームのトーナメント戦で、2回戦、3回戦とビハインドを跳ね返し、PK戦を制して勝ち上がってきた。桐光学園高はこの日も後半15分の失点後に諦めず、反撃。攻め急いでボールを失うシーンが増えたことは確かだが、根気強く攻め続け、最終盤にはゴール前のシーンを増やして高川学園高にプレッシャーを掛けた。

 だが、相手GKの好守やDF陣の集中した守りに阻まれて0-1で敗戦。それでも、鈴木勝大監督は「最後勝ちたいという強い気持ちが桐光学園よりも高川学園が上回ったのかなというのが、率直な感想です。(ただし、)選手たちは最後まで諦めることなく戦ってくれたので、恥じることなく帰りたいと思います」と選手たちを讃えていた。

 現3年生は、1年時にU-16の全国大会で優勝した注目世代。年代別日本代表候補経験者のMF山市秀翔主将(3年)をはじめ、CB馬場拓己(3年)やFW三原快斗(3年)、GK吉田優翔(3年)ら攻守に力のある選手を擁して活躍が期待された。

 だが、順風満帆だった訳ではない。関東大会予選、インターハイ予選はいずれもPK戦で敗退。プリンスリーグ関東昇格を目指した県1部リーグでも結果を残すことができなかったが、選手権予選では1-0で勝ち切る強みを発揮して奪冠に成功した。

 そして、全国大会でも堂々の8強入りを果たした。スーパーエースFW西川潤(C大阪→鳥栖)を擁した19年インターハイでは、3試合連続で後半アディショナルタイムに決勝点を奪うなど初優勝。今大会も苦しい展開で勝ち切る力が表現されていた。

 神奈川の名門はライバルたちも認める存在。今年度に結果が出ていなかったため、前評判が特別高かった訳ではない。だが、インターハイ出場を逃したことや前評判を覆そうとする力が厳しい展開の試合で相手を上回る原動力になったようだ。

 鈴木監督は「しっかりと覆そうという“コンチキショー精神”が今日までの戦いを導いてくれたんじゃないかと思います。本当に、子どもたちはそういう中でも、恐れることなく戦ってくれたので私は誇りに思います」。そして、「人を思いやる気持ちが出てきたので最後はチームが団結して素晴らしいチームになったと思っています」とピッチに立った選手、サポートに回った選手全員に感謝していた。

 選手権出場は3年ぶりだったが、県予選は7年連続決勝進出中。神奈川の高校サッカーを引っ張る存在は、攻守に推進力あるMF豊田怜央(2年)やFWベイリージャスティン勇誠(2年)ら経験者中心に来年、選手権制覇に再挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)

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