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「信じてるぞ」「国立にアイツを」。出場停止の主将のためにも戦った桐光学園、FW三原ら3年生は悔しさを糧に

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桐光学園高FW三原快斗(右)と高川学園高MF北健志郎(3年)。ともに不在の主将の思いを背負うゲーム主将同士が激しく激突。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.4 選手権準々決勝 桐光学園高 0-1高川学園高 等々力]

 国立進出を懸けた準々決勝で大黒柱のU-17日本代表候補MF山市秀翔主将(3年)が出場停止。山市は非常にアグレッシブな攻守と声でチームにエネルギーを与える存在だ。桐光学園高は、小さくないハンデを強いられての80分間だった。

 だが、代わりにボランチを務めたMF岩根裕哉(3年)が立ち上がりから存在感。1年時にインターハイ日本一を先発として経験しているレフティーは前半7分、ペナルティーアークやや外側でこぼれ球を拾うと得意の左足を振り抜く。強烈な一撃は相手DFにブロックされたが、チームを勢いづけるような一撃。その後も岩根はボランチの位置での配球、味方DFとの挟み込みなどで健闘した。

 鈴木勝大監督も「山市の良さもありますけれども、岩根も自分の良さを十二分に出してくれたので、チームが停滞したり、クオリティが落ちたとは思っていません」と認めるパフォーマンス。高川学園高の素早い奪い返しによって思うような攻撃ができない時間帯もあったが、より多くのチャンスを作ったのは桐光学園の方だった。

 だが、1点が遠かった。ポストに2度阻まれるなど決め切ることができない。ゲーム主将を務めたエースFW三原快斗(3年)が前線でのキープやドリブルでの仕掛けで奮闘し、左SB 寺内倖大(3年)の攻め上がりを交えたサイド攻撃やセットプレーからゴールへ迫ったが、あと一歩でゴールを破れなかった。

 三原は山市の思いに応えられなかったことを悔しがる。「(試合前、)アイツには『信じているぞ』、と一言だけ言われて、『国立にアイツを立たせてやりたい』という気持ちが全員ありました」。山市、そして3年生たちと目指してきた目標があっただけに「自分たちが目標としてきた国立でやって、全国優勝ということができなかったので悔しいです」と三原は唇を噛んだ。

 三原や山市は大学進学予定。4年後にプロ入りするポテンシャルは十分にある。「サッカー人生においてこんなに悔しい思いは今までで経験したことがなくて、この悔しさをバネに大学でも暴れたいと思います」と誓った三原ら桐光学園の3年生は、敗戦を糧に次の目標達成を目指す。

(取材・文 吉田太郎)

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