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決勝で「力が発揮できなかった」大津、優勝へのカギは経験値

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“公立の雄”大津高は準優勝(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.10 選手権決勝 大津高 0-4 青森山田高 国立]

「青森山田さんということで、押し込まれる展開になるとわかっていましたけど、思ったより圧力とパワーがすごくて、自分たちが後手に回ってしまった結果、このような結果になってしまったと思います」

 大津高(熊本)のMF森田大智(3年)主将は、0-4での敗戦に肩を落とした。

 プレミアリーグWESTでは、最小となる14失点で4位に。選手権でも、佐賀東高(佐賀)に許した1失点のみにとどめ、GK佐藤瑠星(3年)、DF川副泰樹(3年)、DF寺岡潤一郎(3年)らが堅牢な守備を築いてきた大津。「名古屋グランパス、ガンバ大阪はすごくボールを持てるチームで、そういう相手にやってきたことが自信になっていた」と寺岡が大会中に挙げたように、プレミアリーグでJユースと渡り合った経験値が選手権でも還元されてきた。

決勝に臨んだ大津高イレブン(写真協力=高校サッカー年鑑)

 同校初の日本一を懸けた決勝の相手は、プレミアリーグEASTの王者・青森山田高(青森)。プレミアリーグEASTを最多得点で制した青森山田を前に、今季公式戦最多となる4点を献上してしまう。青森山田もまた、プレミアリーグEASTで最小失点(9失点)を誇り、攻撃力だけでなく守備力も高校年代最高レベルのチームだった。その圧力を前に、「逃げ腰になってしまった」と森田は悔やむ。後ろ向きなパスが多く、ミスも目立った。終わってみれば、大津のシュートは0本。「シュートを打たせない、失点をしない」という青森山田が掲げるサッカーを体現されてしまった。

 山城朋大監督は「力が発揮できなかった」と悔やむ。選手権における経験値の差も大きかったと見ている。「相手は4年連続決勝まできていて、我々は3年ぶりの出場。慣れじゃないですけど、そういったところで差があったのかなと」。準決勝が不戦勝となった大津にとって、国立で戦うのは決勝がはじめてのことだった。

 92→93回大会の星稜高(石川)、95→96回大会の前橋育英高(群馬)、そして今回99→100回大会の青森山田と、準優勝の翌年に優勝を果たしているように、経験値がチームにもたらすものは大きいのだろう。

 今大会、過去3度阻まれてきた8強の壁を突破し、準優勝に輝いた大津。次に狙うは、優勝しかない。「来年に向けては、毎年出場して、毎年国立の舞台で戦うことを繰り返さないと、青森山田さんとの差は縮まらないと痛感しています」と、指揮官は再び“聖地”に戻ってくるつもりだ。

(取材・文 奥山典幸)

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