beacon

先輩の姿に感動した中学時代。前橋育英の強力左SB山内恭輔は代表復帰、そして後輩に刺激と2つめのタイトルを

このエントリーをはてなブックマークに追加

前橋育英高の強力左SB山内恭輔(3年=前橋FC出身)は後輩たちを刺激、感動させるプレーとタイトルを誓う

 目標を一つ達成した左SBが、次は“年代別代表復帰”と選手権制覇を目指す。前橋育英高(群馬)DF山内恭輔(3年=前橋FC出身)は、中学時代にU-15日本代表候補合宿を経験。今年は前橋育英不動の左SBとして、ハイアベレージなパフォーマンスを続けている。

 U-15日本代表候補合宿で課題となったファーストタッチは、3年間特に意識してきた部分。山内は対戦相手のハイプレスを受けても、的確なタッチでボールを止め、スペースへ運び、中盤の選手にパスをつけて行く。一見“ハマった”ように見える状況でも光る技術力と落ち着き。ポジショニングを指摘されることもあるが、キープ力の高さでも前橋育英のビルドアップに大きく貢献している。

 また、球際の攻防では巧みに相手の前に潜り込んでボール奪取。小柄だがヘディングも強い。加えて、プレミアリーグEASTではここまで2得点をマーク。インターハイでも初戦での決勝アシストに始まり、3回戦で先制点を決めるなど、ゴールに絡む動きでも13年ぶりの優勝をもたらす力になっている。

 トレーニングでは左サイドから縦への仕掛け、コンビネーションによる崩しから得意の左足で決定的なクロス。名門校の中でも、その動きは目立つ。「パスの質にこだわって、シュートする人がシュートしやすいボールにこだわっていきたい」という山内は、ラストパスを浮かさないようにしたり、中への動きを増やすなど、細部にこだわってゴールチャンスを増やそうとしている。

「1試合ごと、自分はどんどん成長できた」インターハイでは、大会優秀選手に選出。高い評価を受けているが、本人の目指すステージはもっと先にある。「プレミアやインハイとか目に見える結果を残しているので、そこはもっと注目してもらいたい。(U-18)代表とかの試合も見るんですけれども、自分は『全然やれるな』というのはあるんで行きたいです」。3年前の課題を改善してきた山内は、より結果を残して代表復帰し、定着することを個人の目標に掲げている。

「左足のキックはどんな体勢からでも自分は蹴れると思うので、そこは自分では見てもらいたいし、攻撃的なのでクロスやシュートを見てもらいたいです。ストロングをもっと極めて、オレが出れば『こういうプレーをしてくれる』というイメージを(代表チームの)監督さんとかに作ってもらえれば、呼びやすいと思う」。

 高校生活は残り数か月。山内は、後輩たちに一つでも多く刺激を与えて慣れ親しんだグラウンドを離れる意気込みだ。山内は前橋FC時代、火曜日と木曜日に各2時間、前橋育英高崎グラウンドでトレーニング。「当時は(17年度選手権で日本一の)田部井さん兄弟が練習していたり、刺激を受けていたので、自分でも育英に入って前橋FCの人たちに刺激を与えたいと思ったし、育英が優勝したのも当時見て感動したので、自分も感動させるようなプレーをしたいと」。今夏のインターハイで全国制覇。目標通り、後輩たちに刺激を与え、感動させることができた。

 プレミアリーグ優勝はやや難しい状況だが、田部井兄弟のように選手権で再び後輩たちを感動させるつもりでいる。そのためには、チームとしても、個人としても、前橋育英のグラウンドでもっともっと努力と成長をすること。「もっと結果を残してチームで絶対的になって日本でもっと注目されたいですし、そこはもっと結果を出せばもっと上に行けると思うので、もっと育英で結果を残していきたい。(ここから)個人のレベルアップとチームの結果を残して、プレミアでは自分のアシストや守備力を伸ばして、選手権ではタイトルを取れるように頑張っていきたい。終わりのことは考えたことがなかったけれど、そう思うと、残り3、4か月くらいしかない。今できる努力をしていきたいです」。憧れは左SBマルセロ。前橋育英が勝つためのプレー、沸かせるプレーも目指して山内恭輔の名を広める。
 
(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●高円宮杯プレミアリーグ2022特集
●【特設】高校選手権2022

TOP