beacon

[MOM4039]大森学園GK今井颯大(3年)_「託された気持ち」を右手に。168cmGKが関東一撃破のPKストップ

このエントリーをはてなブックマークに追加

PK戦4人目、大森学園高GK今井颯大主将が右手でシュートストップ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[10.22 選手権東京都Bブロック準々決勝 大森学園高 1-1(PK5-3)関東一高 南豊ヶ丘フィールド]

 登録身長168cm、体重58kgの小柄な守護神が、王者の前に立ちはだかった。1-1で突入したPK戦は3-3で4人目へ。先攻・大森学園高はMF大塚稀輝(2年)が決めると、直後の関東一高4人目のシュートをGK今井颯大主将(3年=南葛SC出身)が右手でストップする。

 事前の分析もあり、相手キッカーが自分の左へ蹴ってくることを想定。「とりあえず自分を信じて跳ぶしかないなと。ちょっと早く動きすぎてしまって、焦った気持ちもあったんですけれども、最後はみんなに託された気持ちで右手を残して止めました」。身体は流れていたものの、右手一本で魂のセーブ。シュートの威力に負けずに弾き出し、咆哮した。

 このビッグセーブの直前、今井はゴールラインの内側で正座。1人目の前にも行っていたルーティンをこの4人目の前に再び行っていた。「自分、ああいうところになったら気持ちが上がって我慢できなくなったり、高ぶって空回りしやすいので」心を落ち着かせるための正座。昨年の新人戦で成功体験もあったルーティンを「ここが勝負」というところで行い、大仕事に繋げた。

 続く5人目、MF豊増翼(3年)が決めて決着。歓喜の中心となった今井は、「自分たちが去年敗れている相手ということで気持ちが入っていたんですけれども、試合の中ではみんなが身体を張って守ってくれましたし、身体を張って1点決めてくれたのでPK戦になった瞬間は『絶対に自分がチームを勝たせるんだ』という気持ちでやって、本当にそれを止めれて、勝てて、素直に嬉しかったです」と喜んだ。

 延長戦を含む100分間も、気迫溢れるプレーを見せた。前半27分に直接FKを弾き切ることができずに失点。だが、すぐに切り替えた守護神はゴール前の攻防で怯まずに前へ出て、接触してもすぐに起き上がってプレーを続けた。

 人一倍身体を張ってゴールを守った主将は、後半終了間際に相手の決定的なヘッドに反応し、チームを救うファインセーブ。CB大澤郁輝(3年)を中心としたDF陣の支えも受けながら、最後まで2点目を許さず、PK戦でヒーローになった。

「気持ちで負けたら絶対にゴールを守れない。そこは入学してからずっと課題というか目標にしているところなので、この身長でも活躍できる、通用できることを証明したいなと。自分と似た人に勇気と希望を与えたいと思っていたので、この3年間の集大成が出たかなと思います」

 小倉鋭也監督が「去年も西が丘(東京都準決勝)を経験していますし、自分から『キャプテンをやらせて下さい』と言ってきて凄く責任感がある。精神的な支柱になっている」と評した主将が大活躍。1年前の準決勝で敗れた相手であり、昨年度全国3位でもある関東一にリベンジした。今年は関東大会予選、インターハイ予選と結果が出なかったが、「これが最後だという気持ち」で臨んだ選手権予選で白星を重ねている。

「次勝ったら学校の歴史を変えられる。そこを目標にしつつ、自分たちはもういつでもチャレンジャーなので、きょうみたいな試合ができるようにしっかり準備していきたい」。準決勝も気持ちを全面に出して戦い、チームの歴史を変える。そして、今後も「小さなGKでもできる」ことを示す。


★高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチを応援するsfidaは、第101回全国高校サッカー選手権大会のオフィシャルパートナーです。


 挑戦し続ける若者を応援したい、挑戦の先にある新たな扉を開くサポートをしたい、そんな想いから第100回大会より全国高校サッカー選手権へ協賛。日本一を目指す高校生たちの挑戦を全力でサポートいたします!

sfida 2022秋冬COLLECTIONはこちら

(取材・文 吉田太郎)

●【特設】高校選手権2022

TOP