beacon

ユース取材ライター陣が推薦する選手権予選注目の11傑vol.3

このエントリーをはてなブックマークに追加

川端氏が注目するDF藤井葉大(飯塚高2年)

 第101回全国高校サッカー選手権の都道府県予選が、各地で開催されている。ゲキサカでは「選手権予選注目の11傑」と題し、ユース年代を主に取材するライター陣に選手権予選注目の11選手を紹介してもらいます。第3回はサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』元編集長で育成年代からJリーグまで幅広く取材する川端暁彦氏による11人です。

川端暁彦氏「選手権予選の季節がやって来ました。チャレンジャースピリットと各都道府県の強豪のプライドがぶつかり合う舞台は、個性が輝く場でもあります。まだ眠れる大器を含めて、それぞれの選手が自分の強みを出し切る大会にしてもらいたいところです。今回の11傑は、先日までヨルダンでアジア1次予選を戦ったU-16日本代表を取材してきたので、そこで話を聞いた高体連の選手たちをピックアップ。また夏に悔しい思いをしたであろう選手たちも全国各地から選んでみました」

以下、川端氏が注目する11名

GK石坂地央(藤枝東高3年)
夏は全国舞台に惜しくも届かず、「不完全燃焼だった」。しかし夏休みのSBSカップでは静岡の守護神としてU-18日本代表のPKを2本ストップして、“代表キリング”に大きく貢献。「『代表に入っている選手より俺のほうが上手いんだ』と見せたかった」と示した勝負強さはホンモノだった。

DF津久井佳祐(昌平高3年)
昌平らしく「ビルドアップが得意」と胸を張る選手でありつつ、獲得を決めた鹿島の牛鼻真諭スカウトが「(足元得意の選手が多い)昌平のCBだけれど、ギリギリの守備が光る」と評するように、ゴール前の危地を救うセンスと根性を兼ね備える。夏の総体はまさかの負傷エンドだっただけに、冬への思いも人一倍だ。

DF行徳瑛(静岡学園高3年)
184cmの長身ながら、ボールを“運べる”技術を備えたCBは、現代サッカーで求められる資質である。本人が「もっと止められる選手にならないといけないし、もっとヘディングで点も取りたい」と語るようにJ1で成功するためにはまだ課題も多いが、観るたびに進歩が感じられるのが楽しい成長株でもある。

DF吉永夢希(神村学園高2年)
森山佳郎監督がU-16日本代表へこの男を呼んだのは、途中交代で出てきたところを目撃して惚れ込んだから。「推進力で勝負する系」と自ら語るとおりのアグレッシブさを攻守で発揮し、代表ではサイドハーフとしてもアシストを量産。「もっともっとやらないといけない」とさらなるブレイクスルーを誓う。

DF藤井葉大(飯塚高2年)
元々はFWだが、出身の山口から「強い九州でやりたかったし、やってるサッカーが魅力的だった」と入学した飯塚高で左SBにコンバートされて大ブレイク。U-16日本代表にも食い込んだ。「運動量と攻撃参加の迫力ではここでも負けていない」と自信も掴みつつ、「やらないといけないことがいっぱいある」と課題も痛感。高校で再爆発し、代表定着も狙う。

MF岡村葵(桐生一高3年)
高校サッカー関係者と「今年の選手権優勝候補は」といった話題になると、必ず出てくるのが夏の王者たる「前橋育英高」の名前だ。ただ、群馬県予選は決してイージーな舞台ではない。対抗馬筆頭の桐生一の要石はこの岡村。正確なキックに加え、とっさのアイディアも光る。リーダーシップにも期待だ。

MF谷倫太朗(神戸弘陵高3年)
今季のブレイクが期待されていた逸材ながら、負傷で出遅れる悔しいシーズンに。また父が監督をつ務めるチームに「中3の夏、覚悟を決めて入ることにした」だけに、その総決算の場となる選手権への思いも強いはず。ビルドアップの経由地として機能しつつ、鋭いパスで攻めを彩る攻撃型のボランチだが、インターセプトのセンスも光る。

MF名願斗哉(履正社高3年)
夏の高校総体は病み上がりのために本来のポテンシャルを発揮しきれず、8強を前に涙を呑んだ。夏のSBSカップではU-18日本代表へ初選出され、「結構やれる」と自信も掴み、名前も売った。川崎Fへの加入も決まっている緩急自在の大型ドリブラーは大阪の列強たちがハードなマークを付けてくるはず。それを跳ね返せるか注目だ。

MF大川佳風(流通経済大柏高3年)
昨冬は「まさか」の初戦敗退を喫し、夏は全国舞台へ届かず。「自分にも責任があるし、もっと競い合えるチームになっていかないといけない」という気持ちでチームを引っ張ってきた。右SBから右MFへポジションを移したことで、「点を取らないといけないという気持ちが強くなっている」と全国行きを導くゴールも狙う。

FW名和田我空(神村学園高1年)
神村と言えば、やはりドリブラーである。その系譜を継ぐルーキーが、U-16日本代表の名和田だ。純正のストライカーというより、サイドもこなしてアシストもできるマルチロールのアタッカー。「決め切るところにもっとこだわらないといけない」と語ったU-16予選での反省を、選手権予選での爆発に繋げられるか。

FW渡邉幸汰(東北学院高3年)
橋本俊一監督が、「スピードもあって両足蹴れるし、収まる。ちょっと将来楽しみ」と潜在能力に太鼓判を推す大型FW。線は細かったが、「弁当と学食の両方を食う」作戦などを通じて体も作ってきた。夏は無念の敗退で全国デビューは果たせなかっただけに、この冬に懸けてくるはずだ。

執筆者紹介:川端暁彦
 サッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』元編集長。2004年の『エル・ゴラッソ』創刊以前から育成年代を中心とした取材活動を行ってきた。現在はフリーランスの編集者兼ライターとして活動し、各種媒体に寄稿。著書『Jの新人』(東邦出版)。「#蹴球メガネーズ」
●【特設】高校選手権2022

TOP