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勝負を決めた電光石火の早業…北海、被シュートゼロで2年連続の全国へ王手

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北海高が2年連続全国へ王手

[10.22 選手権北海道予選準決勝 北海高 1-0 北海道大谷室蘭高 札幌厚別]

 第101回全国高校サッカー選手権の北海道予選準決勝が22日に札幌厚別公園競技場で行われ、第1試合は北海高が1-0で北海道大谷室蘭高を下した。

 勝負を決めた一撃は、電光石火の早業だった。2年連続の全国出場を狙う北海は、島谷制勝監督が「力は、相手の方があると思うが、厚別で試合をすることによる緊張は相手の方が強いのではないかと思い、攻められるときに攻めておこう」と話した狙い通り、キックオフからペースを上げて攻勢。前半8分にハーフウェーラインの手前でFKを得ると、GK小野寺信(2年)が右前方へフィード。これを前線のターゲットであるFW田中準人(2年)が打点の高いヘディングで相手に競り勝ってゴール前へ落とすと、FW野村光希(2年)がショートバウンドを左足のワンタッチでゴールへプッシュ。最初のチャンスを物にした。

 北海は、その後も右MF桜庭平良(3年)を中心に攻勢を続け、相手がサイドに気を取られると「奪ったら、前に運ぶことは意識してやるべきこと」と話したボランチのMF松永悠生(3年)がドリブルで中央突破を仕掛けた。同19分には立て続けに惜しいシュートへ持ち込んだ。全校応援の力も借りた立ち上がりの勢いの違いは、勝敗を大きく左右するものになった。

 対する北海道大谷室蘭は、3ボランチの右に入ったMF伊藤梨宮(3年)と右ウイングバックの坂田惟真(3年)の連係から左サイドに振って打開を狙ったがシュートを打てず。北海はDF金田凪斗(3年)が空中戦、DF岩井奏(3年)が地上戦でファーストコンタクトを制して、ツートップにボールを入れさせなかった。

 北海道大谷室蘭は、前半36分にFW田中拳心(3年)を投入すると、田中のドリブルを起点に連係が生まれて押し返したが、後半も序盤は北海ペース。後半12分、松永のFKを「これしか取り柄がない。これで負けたら使われる意味がないと思っている」と空中戦の強さを譲れないストロングポイントとしている金田が頭で合わせてゴールネットを揺らしたが、判定はオフサイドだった。

 その後は、時間の経過とともに北海の選手がアウトプレーの際に足を伸ばす姿が目立つようになり、北海道大谷室蘭がじわじわと押し返した。後半28分に長身FW高岡颯太(2年)を投入すると、キックオフからずっと投げ続けたDF近野竜斗(3年)のロングスローで相手ゴールへ襲い掛かる回数が増えたが、公式記録に北海道大谷室蘭のシュートが記録されることはなかった。

 今年昇格したばかりのプリンスリーグ北海道は、5連敗のスタートで苦しんだ北海だが、チームがようやく仕上がって来た。今大会の準々決勝では夏のインターハイ予選王者でありプリンスリーグ北海道の覇者でもある旭川実高をPK戦で撃破。準決勝は、被シュートゼロで伝統の堅守を体現し、2年連続の全国出場にあと一歩と迫った。

 主将を務める桜庭は「新チームの目標を決める段階で、去年できなかった目標(全国大会での勝利)を達成するために頑張ろうとやってきた。今日も試合前から先輩方が応援してくれた。去年の悔しさを晴らしたい気持ちはあります」と2年連続の全国出場に意欲を示した。島谷監督は「チャレンジャーに徹するが、負けず嫌いのところは出してもらいたい。連覇は狙ってはいますけど、言葉には出していません」と一戦必勝の構えを貫いた。北海道代表として全国大会出場権をつかむのは、果たしてどちらか。北海高は、翌23日の決勝で札幌光星高と決勝戦を行う。

(取材・文 平野貴也)
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