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3つめの初優勝へ。岩手決勝進出の花巻東は日常を表現し、選手権でも歴史を変える

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後半開始直後、花巻東高MF中村翔大が先制ゴール

[10.28 選手権岩手県予選準決勝 花巻東高 1-0 盛岡誠桜高 いわスタB]

 選手権でも、歴史を変える――。第101回全国高校サッカー選手権岩手県予選準決勝が28日に行われ、新人戦、インターハイ予選に続く優勝を狙う花巻東高盛岡誠桜高が激突。花巻東が1-0で勝ち、初優勝に王手をかけた。花巻東は11月6日の決勝で盛岡商高と戦う。

「自分たちの歴史を変えるということでやってきた。2つ歴史は変えられたんですけれども、選手権の歴史はまだ変えられていないので、せっかくチャンスが回ってきたのであと1試合、全力で取り組みたい」。花巻東のFW作山寛都主将(3年)はそう力を込める。

 花巻東は昨秋の新人戦、今夏のインターハイ予選でいずれも初優勝。最も大事な大会での「初優勝」、そして「全国1勝」へ向けた高いモチベーションを試合開始から表現していた。前半4分、6分と立て続けにフィニッシャーの左MF中村翔大(3年)が決定的なシュート。8分にも相手のミスに乗じて決定機を作り出したが、盛岡誠桜GK菊地歩有斗(3年)の執念のセーブにあうなど、ここで飲み込むことができなかった。

 盛岡誠桜は13年に男女共学化。年々力をつけ、今年の3年生世代は新人戦、インターハイ予選でいずれも4強入りし、選手権予選でも初の準決勝へ進出した新鋭だ。普段は3バックだが、準々決勝で4バックの盛岡中央高が花巻東を苦しめたことを参考にして、この日は4バックでスタート。立ち上がりの連続ピンチを全員で凌いだチームは、試合を落ち着かせることに成功していた。

 前半は花巻東が圧倒的にボールを握り、CB及川真ノ介(3年)の縦パスなどをスイッチに連続攻撃を繰り出した。また、アンカーのMF八重樫優成(3年)らが切り替え、強度を徹底して素早い奪い返し。だが、盛岡誠桜も良い形でボールを奪った際には落ち着いて繋いで見せる。前線のFW佐藤一空主将(3年)が収め、中盤の選手たちも判断を変えながら的確にボールを動かしていた。

 だが、花巻東は試合の主導権を握り続ける。初戦敗退したインターハイから「質のところは柱さん(元日本代表主将の柱谷哲二テクニカルダイレクター)も追求してきたことだと思う。最後のところのアタッキングサードからのところのクオリティはかなりやってきたことだと思います」(清水康也監督)という攻撃を表現。SBの攻撃参加を交えて2人、3人が係わってサイドを崩し、ラストパスへ持ち込んだ。

 DF陣が集中し、最後の局面で身体を張る盛岡誠桜の守りは堅く、無得点で前半を終了。だが、「一からやるぞ」「最後決めるだけ」と気を引き締め直して臨んだ後半開始直後に花巻東が先制する。

 開始20秒、この日右サイドで突破口となっていたMF加々美敦己(3年)がGKとDFの間にアーリークロス。これに走り込んだ中村が相手の対応の乱れを逃さずにゴールへ押し込み、先制した。

 花巻東が一気に畳み掛けようとするが、3バックへ移行した盛岡誠桜も反撃。8分にはカウンターから右サイドを崩し、MF山口唯(3年)のクロスをファーの佐藤一が頭で合わせる。だが、この決定的な一撃を花巻東の1年生GK高橋晃が右へ跳んでビッグセーブ。盛岡誠桜は1点差のまま試合を進め、MF椿翔祐(2年)のエネルギッシュな動きやセットプレーなどから同点を目指す。

 花巻東は作山のミドルシュートや八重樫のポスト直後のドリブルシュートなどあわやのシーンを作るものの、好守を連発する盛岡誠桜GK菊地から2点目を奪うことが出来なかった。また、スタジアム、同級生たちの大応援と普段と異なる雰囲気にややかかりすぎた部分もあったか、足を攣らせる選手が続出。それでも、ピッチサイドで選手たちを励ます柱谷テクニカルダイレクターの後押しも力に最後まで走り切って1-0で勝ち、18年度以来となる決勝進出を決めた。

 花巻東は、いずれもメジャーリーグで活躍する大谷翔平や菊池雄星を輩出したほか、甲子園決勝も経験している野球部に見習い、ピッチ外や、学校生活、目の前の相手に「絶対に負けない」という気持ちの部分から意識して取り組んできた。インターハイの悔しい敗戦後は、大学生との練習試合を重ねて強度を高め、「メンタルもそうですし、お互いに声掛けも増えてきた」(作山)。それでも、まだまだ。取り組んできた成果を厳しい戦いで発揮しなければならない。

 作山は決勝へ向けて、「声を切らさないで、どんなに苦しい状況でも声を出し合って自分たちらしいサイド攻撃だったりをして勝ちたいと思います」とコメント。また、清水監督は「もっとアグレッシブに、謙虚に、パワーを出してやって欲しいと思います。何とかやって欲しいですね。ここ(決勝)がホンモノか、ホンモノじゃないかが出るんじゃないかと思います」と期待した。

 コーチ陣、選手たちが重視するここからの一週間を重視する。柱谷テクニカルダイレクターからも試合後、「また一週間サッカーできるので、一週間良い準備をしよう」という言葉。3年間取り組んできた日々を証明し、選手権予選でも初優勝を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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