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[MOM4053]日章学園DF藏屋明徹(3年)_日章が誇る“右サイドの槍”がゴラッソとクロスでファイナル進出の立役者に!

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日章学園高が誇る“右サイドの槍”、DF藏屋明徹

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[10.29 高校選手権宮崎県予選準決勝 日章学園高 2-1 鵬翔高 串間市総合運動公園陸上競技場]

 仲間と過ごしてきたこの3年間は、あるいは中等部から数えれば6年間は、この大会のためにあったと言っても過言ではないかもしれない。だから、あと1勝することの価値は十分過ぎるほどによくわかっている。何が何でも、あと1勝。

「やっぱり選手権に憧れて日章学園に入ってきましたし、一番の憧れの舞台なので、これからも活躍できたらいいですし、一番は応援してくれるメンバーに入らなかったみんな、マネージャー、チーム全員で1日でも長くサッカーができるように、自分たちがやるしかないので、そんな想いで決勝も戦いたいです」。

 日章学園高(宮崎)の右サイドを司るサイドバック。DF藏屋明徹(3年=日章学園中出身)は自らの得点を含めて2ゴールに絡む活躍を披露し、チームをファイナルへと力強く導いている。

 右足を振り抜くことに躊躇はなかった。県内最大のライバル、鵬翔高と対峙した選手権予選準決勝。やや押し気味で迎えた前半34分。左サイドで得た日章学園のFK。テゲバジャーロ宮崎への加入が内定しているMF金川羅彌(3年)が中央へ蹴り入れたボールがこぼれると、誰よりも早く2番がそこへ走り込む。

「外れてもいいから打とうという想いで、もうとにかくふかさないことだけを意識して抑えて打ったら、良いコースに飛んでくれたので『ウソ?』って思いました(笑)」。ペナルティエリアの外から藏屋が思い切って放ったミドルシュートは、美しい軌道を描いて右スミのゴールネットを貫く。

「スーパーゴールでしたね。インターハイの旭川実業戦でもアイツが同じようなシュートを決めてくれましたし、結構点も獲ってくれるので、頼もしいです」と原啓太監督も笑顔で語れば、「左に切り返そうかと思ったんですけど、ちょっと遠かったので、打っても相手には当たらないなと思ったので、振り切りました。インターハイでもああいうゴールを決めたことがあって、得意な形ではあったんですけど、良い感じに風が味方してくれて、ボールが風に乗ったので良かったです」と本人も手応えを口にする。

 ただ、1つだけ“反省”すべき点もあったという。「撮っているカメラの人たちがいたのはわかっていたんですけど、気付いたら逆側に行っていました。それどころではなかったです(笑)」。殊勲の先制ゴールを叩き出しながら、何とも高校生らしい発言も微笑ましい。

 2点目をもたらしたのもこの男のクロスがきっかけだった。後半12分。右サイドでパスを受けた藏屋がピンポイントのボールをファーへ届けると、FW田上遼馬(2年)の折り返したヘディングが相手のハンドを誘い、日章学園はPKを手にする。それを金川が冷静に沈め、大きな追加点をゲット。

「9番の田上くんとずっと練習していた形だったので、アレはお互いに思っていた形ですね。インターハイの県予選でもああいうボールから得点が生まれましたし、直接ではないですけど得点に関われて良かったと思います」と振り返った2番の右足が、ここでもチームのアドバンテージを手繰り寄せる。

 終盤には1点を返された上に、さらに勢いが増した鵬翔の猛攻にさらされ、「心臓がヤバかったですね、バクバクでした」という藏屋の言葉も決して大げさではないような展開の中、日章学園の守備陣は懸命に水際で踏みとどまり続けると、6分近いアディショナルタイムも耐えた彼らに、タイムアップのホイッスルが聞こえる。

 1年前にも同じ準決勝で対峙し、0-3で敗れた県内最大のライバルにリベンジ達成。「準決勝の相手が鵬翔に決まった時から、もうリベンジというか、先輩たちの分も意地でも勝たないといけないなと思っていたので、勝てて本当に良かったです」と安堵の表情を浮かべた藏屋の右足が、この大事な一戦で一際輝いた。

「スピードもかなりあって、キックも良くて、我々にとっては攻撃の核ですし、キーマンですね」と原監督も評したように、今の日章学園にとって2番の存在感は欠かすことのできないぐらい大きなもの。本人は「守備がメチャメチャ課題なので、攻撃で結果を出さないといけないんです」と苦笑するものの、その攻撃性は自身の感じる課題を補って余りある。

 浮かべるイメージは世界的なサイドバック。「リヴァプールの(アレクサンダー・)アーノルド選手のクロスを意識していて、ウチのチームはフォワードの背が高くて、そこに入ってきてくれるので、人に合わせるというよりは場所に合わせる感覚で蹴っています」と口にする藏屋に「“日章のアーノルド”ですね」と水を向けると、「いえ、そんなことを言ったら叩かれます」と笑顔でいなしたが、目標はいくらでも大きく持っていい。

 過去2年は予選敗退を喫している選手権も、残るは最後の1試合。藏屋も自分たちに求められていることは、もちろん理解している。「今日も2点を先制した時に3点目を押し込む力のなさだったり、そこで失点してしまう部分が自分たちの甘さだと思いますし、また課題が見つかった試合でしたけど、やっぱり勝つという結果が一番かなと。何が何でも自分たちの代で全国に行きたいです」。

 全国出場の懸かった大一番であっても、やるべきことは変わらない。2番を背負った “右サイドの槍”は、きっとファイナルでもその逞しい推進力で、日章学園を前へ、前へと導いていくはずだ。

★高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチを応援するsfidaは、第101回全国高校サッカー選手権大会のオフィシャルパートナーです。


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(取材・文 土屋雅史)

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