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先制点献上で導火線に火…成長続ける松本国際、都市大塩尻に逆転勝利で準決勝突破!!

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逆転勝利の松本国際高が決勝進出

[10.29 選手権長野県準決勝 松本国際 2-1 都市大塩尻 サンプロアルウィン]

 第101回全国高校サッカー選手権長野大会準決勝が29日に行われた。松本国際高都市大塩尻高の一戦は前後半に1点ずつ奪った松本国際が2-1で勝利した。

 インターハイでは全国行きの切符を逃した松本国際だが、県1部リーグでは13勝1敗という結果を残して優勝。Jの練習参加を経験したMF矢越俊哉(3年)、MF岸琢人(3年)の2人を筆頭に昨年からスタメンを張る選手も多く、今年の前評判は高い。だが、準決勝で対戦したのは、リーグ戦で唯一の黒星を喫した都市大塩尻。立ち上がりは選手権予選特有の緊張感や慣れないアルウィンの芝に戸惑い、DFラインが落ち着かない。「スタートの10分は“なぜ緊張しているんだ”と思っていた。何をビビッているんだ、どうしてこうなるんだろうなって。ずっとやってきたことができていなかった」と振り返るのは勝沢勝監督だ。

 ただ、時間の経過と共に攻撃の要である矢越が持ち味であるボールキープを発揮できるようになり、チームとしての落ち着きを取り戻して行く。前半18分には矢越のスルーパスから、MF二木楓(3年)がゴール前に抜け出したが、わずかに合わない。27分には矢越がゴール前に入れた浮き球から、MF佐々木晄汰(2年)がDF裏に抜け出しシュートを放ったが、バーに阻まれた。決定機を作りながら、1点を奪えずにいると35分にはMF高橋圭太(2年)の右クロスを、反対サイドのMF平松知也(3年)に決められ、都市大塩尻に先制を許してしまった。

 追い掛ける展開を強いられた松本国際だが、ピッチでもベンチでも焦りの色は見られない。勝沢監督はこう振り返る。「失点しても、どこかでひっくり返せるとは思っていました。逆に火が付くかなって。先制されると、割り切って“自分たちがやってきたことをやろうよ”となるんじゃないかと見ていました」。指揮官の読み通り、失点によりスイッチが入ると、38分にはDF元木竜矢(3年)が自陣から前方にフィードを展開。ゴール前に抜け出したFW高城泰史(3年)がシュートを決め、追い付いて前半を終えた。「今日のポイントはすぐ点を獲り返したこと。高城が2分ぐらいで返してくれたのが大きかった」(勝沢監督)。

 追い付いた勢いのまま後半に挑みたい松本国際だったが、前半の疲れもあり、前線の運動量が減った結果、ゴールに迫る場面は少なかった。後半18分には途中から入った都市大塩尻のFW宗村和平(3年)にバーをかすめるシュートも打たれたが、DF川村勇一朗(3年)らDF陣が粘り強く対応し、相手に2点目を与えない。隙を見ては攻撃を仕掛けると30分には、中央のスペースを見逃さなかった二木がドリブルからゴール前にスルーパス。強引に抜け出した高城のシュートは相手に阻まれたが、こぼれ球を拾ったDF北村健(3年)が角度のない位置からシュートを叩き込み、松本国際が2‐1で勝利した。

「勝ったからナイスゲームでしょう。でも、もっともっと僕はできると思って、信じているので、次にもっともっと発揮させたい」。試合後、勝沢監督が残した言葉の通り、松本国際が持つ実力の全てを出したとは言えないが、昨年負けた準決勝でしっかり勝ち切れたことは大きな価値を持つ。

 勝沢監督は良くないながらも、しっかり勝ち切った選手の成長を感じている。「凄く粘り強くなってきた。雰囲気が悪い、自分たちの時間帯じゃない時から戻せるようになってきた。ベンチからの指示ではなく、彼ら自身が『ちゃんと勝利のためにやろうぜ』と流れを戻せた所が、成長かなと思う」。

「大会で成長していくチームじゃないと勝てないと思うので、また決勝も成長させるような試合にしたい」。指揮官がそう続ける通り、決勝でも成長速度を止めず、2年ぶり5度目の全国行きを掴み取る。

(取材・文 森田将義)
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