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「凄い」兄と異なる道選び、躍動中。宇治山田商の高速FW光田向志「決勝勝って、全国で見てもらえるように」:三重

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宇治山田商高の高速アタッカー、FW光田向志(2年=ソシエタ伊勢SC出身)は簡単には止まらなかった

[11.3 選手権三重県予選準決勝 四日市中央工高 0-1 宇治山田商高 四日市市中央緑地陸上競技場]

 今冬、全国に自身と宇治山田商高の名を轟かせる。FW光田向志(2年=ソシエタ伊勢SC出身)は50m走6秒1の高速アタッカー。特に「スピードと相手の前に入るところ。最初の10m、20mのスピードは絶対に負けないです」と言い切るほどスピードと身のこなしに自信を持っている。

 この日は序盤からスピードに乗ったドリブルでゴールへ。四日市中央工高のCB及川惺那(3年)と幾度もガツガツとやり合っていた。狡猾に守る相手に突破しきれない部分があったことも確か。だが、「どんどん勝負して、相手の背後狙って、自分はスピードが特長なので相手の背後を獲って点を決めてやろうという気持ちで臨みました」という光田は、繰り返し仕掛けて大きく前進するなど強敵を押し返す原動力になっていた。

 また、守備の部分でも序盤からフルスロットル。運動量を増やし、キーマンである相手ボランチにプレッシャーを掛け続けた。この日の宇治山田商は普段よりもシンプルなロングボールが増えたこともあり、光田にとっては難しい戦いに。それでも、後半15分に足を攣らせて交代するまで走り続け、十分相手の脅威になっていた印象だ。

 古西祥監督が「警戒されていても独特の間合いもあるし、すっと前を向ける。本当に純粋でサッカー楽しみたい、点獲りたい、という選手。要求も全部すっと入っていくし、とにかく負けず嫌い」と評する光田は全国大会に出場すれば、注目度が大いに高まりそうな才能だ。

 兄のFW光田脩人(現早稲田大)は、名古屋U-18時代の19年にクラブユース選手権とJユースカップで日本一。さらにU-17日本代表としてU-17ワールドカップにも参加し、大学進学後も全日本大学選抜に選出されているスピードスターだ。

 光田はその兄について、「本当に凄いです。凄いとしか言えないです、身近にいるからこそ学ぶことも多いですし、学んだことをサッカーに活かせるし、凄く大切な存在でもありますね」と説明する。一方で自身が負けていないと感じている部分も。「プレースタイルは似ているんですけれども、最後決め切る部分だったり決定力は自分の方が上かなと思っていて。兄を目標とするのではなく、兄を越えて、兄とともにプレーするというのも夢ですし、どんどん上を目指してやっていきたいです」と微笑んだ。

 光田が県選抜に選ばれるようになったのは中学3年時からだという。兄に比べ、活躍し始める時期が遅かったこともあり、高校は伊勢市の自宅から近く、「ベスト4とか県を獲れるチームだと思っていた」宇治山田商への進学を選択した。

 Jクラブユースで活躍した兄とは異なり、地元の公立校へ進学。だが、「(チームを全国へ押し上げるという)気持ちが強いです。絶対に自分が決めて、と常日頃から思っています」と語る光田は今大会、チームの決勝進出に貢献し、その進路が正しかったことを証明して来ている。

「(この進路は)絶対正解だと思いますし、県獲らないと意味がないので、そこ(目指すところ)は変わらない」と光田。そして、「全国でもしっかり活躍して、自分が点を決めて、チームを勝たせて全国に山商という学校を繁栄させたい。(そして、)もっと見て欲しいですね、自分のプレーを。でも、(まだ)その舞台を作れていないので、決勝勝って、全国で見てもらえるように」と力を込めた。

 憧れの選手はブラジル代表ガブリエル・ジェズス(アーセナル)だ。決定力、運動量、守備力も兼ね備え、「コイツがおったら勝てるな、という選手に」なることを目指す光田が、結果を残し続けて全国舞台で自身と宇治山田商の名を広める。

(取材・文 吉田太郎)
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