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今夏フラメンゴの練習に参加…富山一のブラジル系MF湯川信治「未来に繋がる経験になった」

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富山一のMF湯川信治

[11.3 高校選手権富山県予選準決勝 富山一5-0富山東 高岡スポーツコア]

 準決勝までの3試合で29得点、そして無失点と安定した戦いぶり。33回目の全国選手権出場を目指す富山一高が、今年も決勝へと勝ち上がった。

 ただ県内では圧倒的な強さを誇る富山一だが、昨年の高校選手権、そして今年のインターハイと全国大会では連続して初戦敗退。いずれも0-1と得点を奪えずに大会を去った。

 そこで夏以降は、攻撃のバリエーションを増やす練習に多くの時間を割いてきたという。さらに10月9日のプリンスリーグ北信越最終節の新潟U-18戦から、アンカーだった10番MF大矢悠太郎(3年)をシャドーに上げ、CBの湯川信治(3年)をアンカーに据える布陣を採用。テクニカルな2人をより前で使うことで、相手に与えるプレッシャーを強めている。

 湯川は日系人の父親とブラジル人の母を持つパワー系プレーヤー。姉、兄、弟がいる4人兄弟の3番目で、兄は柔道、弟は柔術をしているスポーツ一家だという。湯川自身も中学までサッカーと柔術を並行して習っていたが、高校からサッカーに専念。富山県の名門で、2年生からレギュラーとして全国を経験している。

 今年の夏には母親の伝手で、ブラジルの名門クラブであるフラメンゴのテストに参加する機会を得た。入団を勝ち取ることは出来なかったが、「いい経験になった。自分の未来に繋がる経験になった」。より強まったプロ志向。日本の大学からの誘いもあったが、卒業後はすぐに海外リーグに挑戦したい思いで、その誘いを断っているという。

 この選手権で自身の価値を高めて、プロクラブからの評価を勝ち取りたい考えでいる。プリンスリーグ終盤の試合中に左腕を骨折、10月に入って手術も経験した。「まだ完治していない」とテーピングを巻いての出場となっているが、それもすべては全国で借りを返すためだ。

「去年の選手権で初戦で負けて、夏のインターハイも初戦負け。まずは2日後(5日)に勝って優勝することが大事ですが、僕自身3回目の全国になるので、ひとつでも多く勝って、国立でプレーできるように、目の前の試合に集中したいと思います」。ブラジル系ボランチが富山一の躍進に向けたキーマンになる。

(取材・文 児玉幸洋)
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