beacon

MF高橋「この悔しさをプロでぶつけたい」。CB行徳「プロで日本一を絶対に」。静岡学園のJ内定2選手は敗戦から変わる

このエントリーをはてなブックマークに追加

試合終了の瞬間、静岡学園高のG大阪内定MF高橋隆大は腰に手を当てたまま動くことができなかった

[11.5 選手権静岡県予選準決勝 静岡学園高 1-2 浜松開誠館高 エコパ]

 試合後、ロッカールームを出てからもまだ現実を受け止められずにいた。“高校年代最高峰のリーグ戦”プレミアリーグWESTで現在高体連チームトップの4位、Jクラブ内定2選手を擁した静岡学園高が、静岡県予選準決勝敗退。G大阪内定の10番MF高橋隆大(3年、U-17日本高校選抜)は「いや、もう泣けないです。うーん……、まだ現実受けられないというか、(みんなに)申し訳ないという気持ちですね」と言葉を絞り出した。

「相手の罠にハマったなという感じでしたね、試合を通して」と高橋。引かずに前へ出てきた浜松開誠館高は特に高橋、名古屋内定CB行徳瑛主将(3年、U-18日本代表候補)の右サイドへボールが行かないように工夫した守りを見せる。そして、2人に対してはマンマーク気味に人を配置。静岡学園は相手のプレッシングをなかなか攻略することができず、右の高橋、左のU-18日本代表候補MF寺裏剣(3年)の両ドリブラーまでボールを運ぶ回数も少なかった。

 全体的に流れが悪い中、エース高橋にボールが入ると幾度かチャンス。そして、前半36分に高橋の右足ボレーで先制点を奪う。だが、後半立ち上がりに課題のセットプレーから失点。すると、20分には味方同士の動きが被る形で相手に抜け出され、勝ち越し点を献上してしまう。

 静岡学園は終盤、勇気を持って繋ぐ回数を増やす。相手の鋭い守備の前にロストをしていたが、それでもショートパスとドリブルで攻め続けた。37分には、CKからプレミアリーグWESTでチームを救うゴールを連発している行徳がヘディングシュート。また、静学の「最小最強ドリブラー」こと高橋がDFを外して右足を振り抜く。だが、いずれもわずかに枠を外れて試合終了。緑のユニフォームはピッチに立ち尽くすしかなかった。

 今年は高橋と行徳、またU-18日本代表GK中村圭佑(2年)らを擁して期待された世代だが、インターハイ予選に続く準決勝敗退。高橋は「(監督の川口)修さんにも言われたんですけれども、チームとして変われとずっと言われていて、結局変わりきれなかったので自分も含めて。ホンマに何ていうんでしょう。足りなかったものが凄く大きいかなと思います」と首を振る。

 また、行徳は「最後までこういった勝負で勝ちきれない、気持ちの部分含めてチームとしても全体で足りなかったです」と唇を噛み、後輩たちへ向けて「選手権は難しい大会ですし、雰囲気だったりいつもとは違う試合に毎年なっているので……そういう難しいような大会ですけれども、一年間悔いのないように取り組んで、最後笑って終わって欲しいです」とメッセージを送った。

 これから、2人はプロのステージへ。行徳は「プロに行ってもこの悔しさというのは残ると思いますし、高校選手権はもう人生で経験できないので……。(仲間と日本一を獲れなかった悔しさを忘れず、)プロで日本一を絶対に獲りたい」と力を込める。

 また、高橋は「ホンマにまだまだ自分足りひんなと思ったし、ホンマに出ていないみんなには申し訳ないですけれども、気づかせてくれる機会やったかなと思います。落ち込んでいる暇はないので、この悔しさをプロでぶつけたいとホンマに強く思います」と誓った。目標の選手権日本一を実現できなかった悔しさをエネルギーに。3年生たちはこの敗戦から変わって、次のステージで飛躍する。

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2022

TOP