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[MOM4075]東福岡MF下川翔世(3年)_“赤い彗星”10番のプライド「全国優勝して憧れられるような東福岡を取り戻したい」

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東福岡高MF下川翔世(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[11.5 選手権福岡県予選準決勝 東海大福岡高 0-3 東福岡高 ベスト電器スタジアム]

 ブリジャール福岡FC出身のMF下川翔世(3年)にとって、東福岡高は小さい頃から憧れのチームだった。彼にとって一人目のアイドルは、小学生の頃に見ていたMF中村健人(現・鈴鹿ポイントゲッターズ)。2015年にインターハイと選手権の2冠を達成した代のエースが魅せるキックの質や冷静さに魅了されたという。もう一人の憧れは、東福岡への入学を決めた中学3年生の頃のエースだったMF荒木遼太郎(現・鹿島アントラーズ) 。「東福岡の10番らしいプレーをしていたので、荒木選手は憧れです」と口にするように下川の指針になっている。

 高校3年生になって下川に与えられた背番号は二人と同じ10番。「自分も10番を付けさせてもらっている以上、自分も憧れられる選手になりたいと思っている」が、新チームが立ち上がってすぐに行われた県の新人戦で負傷し、スタートに出遅れた。復帰して約2週間後にはインターハイ予選の準々決勝を戦ったが、東海大福岡にPK戦で敗退。下川自身も満足の行くプレーができなかった。

 迎えた選手権予選の準決勝は、夏に悔しさを味わった東海大福岡が相手。「何もできずに終わってしまったので、この選手権は自分の中で必ずやり返さないといけないと意識していた」。森重潤也監督からは、「東福岡は同じ相手2回も負けるチームではない」との激励を受けて、準々決勝を終えてからは、高校3年間の全てをかけるつもりで、必死に練習を積み重ねてきたという。

 ただ、試合の立ち上がりは東海大福岡の勢いに飲まれて、苦しい展開を強いられた。時間の経過と共に選手権ならではの雰囲気に慣れて、自分たちのペースへと持ち込み、シュートの形は増えていったが、前半は得点が生れなかった。

 決して満足の行く試合展開と言えない中、均衡が崩れたのは後半4分。「東福岡の10番を付けさせて貰っている以上、自分が勝たせたいという気持ちがあった」と口にする下川が魅せた。右サイドでスローインを受けたMF今吉心絆(2年)からのパスを右サイド高い位置で受けると、DFをかわして角度のない位置から打ったシュートを叩き込んだ。「正直、嬉しすぎて得点の場面はあまり覚えていない。しっかり決められて良かった」と胸を撫で下ろす下川の一撃で勢いに乗った東福岡はその後、2点を加えて3‐0で勝利した。

 勝利に導くゴールと共に森重監督が評価したのは、前線からプレスを繰り返す献身的な姿勢だ。中学時代は攻撃のことばかりを考え、守備への意識は低かったが、高校に入ってから意識が大きく変化。「東福岡は選手層が厚いので守備を徹底してやらないと試合に出られない。高校3年間、必死にプレスを磨いてきました。今は東福岡の10番を付けている以上、恥のない戦える選手になりたいと思っている」。プレミアリーグで格上のJユース勢と対戦しているのも、彼の守備力向上に繋がっている。

 下川が発する言葉の随所からは、赤い彗星の10番を背負う選手としてのプライドを感じる。同時に東福岡というチームへの想いも強く感じる。「福岡県で負ける東福岡ではなく、全国大会で優勝する強い東福岡をずっと見てきた。自分たちの代で全国優勝して、憧れられるような東福岡を取り戻したい」。そう意気込む男は決勝でも、全国でもチームを勝利に導くプレーをして、東福岡の10番として名を残すつもりだ。

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(取材・文 森田将義)

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