[11.5 選手権滋賀県予選準決勝 草津東高 4-3 綾羽高 会場非公表]


　5日、2022年度滋賀県秋季総合体育大会兼全国高校サッカー選手権大会滋賀県予選の準決勝が行われた。第1試合では、草津東高と綾羽高が対戦。前回大会の決勝戦でも接戦を繰り広げた両校は、この準決勝でも白熱した試合を展開。終盤にかけて怒涛の追い上げを見せた綾羽を振り切り、草津東が4-3で決勝進出を決めた。

　試合後に「綾羽高の選手たちは、気迫に満ちたプレーで。警戒して試合に入ってはいたけれど」と振り返ったのは、草津東の牛場哲郎監督。綾羽のキックオフで始まったゲームは、そのキックオフから繋がったボールをMF岡村心翔(3年)が草津東高のゴールに叩き込んでいる。立ち上がり早々のわずか数十秒で、綾羽にリードを許すところから始まった。

　あまりにも早い失点だったが、草津東のキャプテン・MF河合勇徳(3年)は試合後に「いつもなら失点したらうつむいてしまっていたけれど、今日は失点直後にみんなで集まって『まだできるぞ』と話をした」ことで、前を向いて戦う気持ちを削がれなかったと明かしている。実際、失点直後にもシュートを打たれ、4分後にはオフサイド判定だったもののFW佐藤秋太(3年)にゴールネットを揺らされているが、冷静さを欠くことなく、徐々に自分たちのペースに持ち込んでいった。

　草津東は、23分にはMF渡邉良(3年)のパスを受けたFW権田英史朗(3年)の狙いすました鋭いシュートで同点とし、26分にはDF山本知寛(3年)のマイナスのクロスにMF竹下蓮人(3年)が右足を合わせ、前半の内に逆転に成功。2-1で試合を折り返した。

　ギアの入った草津東の勢いは止まらない。後半3分にはFW河野晟也(3年)からパスを受けたMF上原周(1年)が落ち着いてゴールに流し込み、 12分にはCKのこぼれ球をDF西村海希(3年)が詰め、3点のリードを綾羽から奪った。

　しかし、そのリードが試合運びも精神面も落ち着けてしまい、少しずつ草津東のポジショニングが間伸びする。「相手はFWの決定力の高いチーム」(河合)であることは分かっていた。そのような隙を与えてしまえば、見逃してくれるはずがない。綾羽は、16分には交代出場のMF福森誠剛(2年)のパスを佐藤が落ち着いてゴールに流し込み、20分にはこちらも交代出場だったMF星山悠吏(3年)のアシストで、岡村がゴール。1点差まで詰め寄り、さらに得点を奪いに迫る。

　しかしながら草津東は、GKだけでなくフィールドプレイヤーも自陣ゴール前で体を張り、相手のシュートをブロック。1点のリードを守り切り、勝利した。

　決勝戦に向け、河合は「もちろん厳しい戦いになるだろうし、自分たちのペースを崩されたり、相手のペースになってしまったりする時間帯もあるかもしれない。でも、仲間がいる。みんなを信じ、戦いたい」と意気込みを語った。草津東が目指しているのは、滋賀県大会での優勝ではない。インターハイで果たせなかった全国大会での勝利、そして前回大会の選手権で先輩たちと果たせなかった全国大会での勝利。あの日の雪辱を晴らすための切符を手に入れるまで、あと1勝だ。

(取材・文　前田カオリ)

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