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青森山田・黒田剛監督「監督としての役割はこれで終わりとなる」一戦で県26連覇達成。今後は新体制をサポートし、町田指揮官へ

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青森山田高が26連覇。黒田剛監督(中央)と次期監督の正木昌宣コーチががっちりと握手

[11.6 選手権青森県予選決勝 青森山田高 2-1(延長)八戸学院野辺地西高 カクスタ]

 青森山田高黒田剛監督が26連覇を達成した選手権青森県予選決勝後、「全国からは正木(昌宣)監督という名称の中で勝負に行きますので。私が監督としての役割はこれで終わりとなるので、この後は全国も、プレミア(リーグ)もサポートをするという形になると思う」とコメントした。

 黒田監督は23年シーズンから、FC町田ゼルビアの新監督に就任。町田指揮官としての準備もあるため、今後、青森山田では正木昌宣新監督をサポートする立場へ移行する。95年から28年続けてきた青森山田監督として指揮を執るのは、この決勝が最後となった。

 試合は序盤に先制しながらも追加点のチャンスを逸して突き放すことができない。後半15分には八戸学院野辺地西高に直接FKを決められて同点。加えて、前半には晴れていた天候が後半は一転、みぞれ混じりの強雨が打ち付ける悪コンディションとなった。
 
 なかなか2点目を奪えない厳しい状況の中、相手にセットプレーを与えてしまうなど、苦戦。それでも、選手たちは代名詞の“ゴールを守る”守備を徹底して失点後はシュートを1本も打たせない。そして、延長後半8分にエースFW小湊絆(3年)が決めて決着。指揮官は涙を浮かべて優勝を喜んだ。

 表彰式後、教え子たちから胴上げされた黒田監督は、「最後思うところももちろんあるし、負けて終わるのと、勝って終わるのとでは違うので、3年生が最後一踏ん張りしてくれたなという思いがあって」と涙の理由を説明する。就任当初は部員18人、グラウンドもない環境から指導者、教育者としてサッカー、また日常生活のベースを作り、選手権、インターハイ、プレミアリーグのタイトルを獲得するチーム、組織を築き上げた。

 それも雪国・青森で成し遂げた快挙。黒田監督は「アプローチの仕方がここまで狂っていなかった。間違いじゃなかったと思うし、それについて子どもたちが立証してくれたことについては凄く感謝したいと思います」と微笑んだ。

 監督としての最終戦で、全国最多記録をまた更新する26連覇。「色々な勝負がありながら26年連続で優勝できた。毎年毎年一つずつ勝利を積み重ねていく山田の生徒たちは凄いと思うし、私がいなくなっても正木新監督を中心に27年、28年と続いて行って欲しいものと思いますし、実現してくれると信じています」と期待した。

 教え子でもある正木新監督へ向けては、「20年一緒にやっているので、そこはしっかりと受け継いでくれると思います。残ったコーチ陣も、新たなコーチ陣も含めて新しい青森山田を築いて欲しいと思います」とメッセージを送る。

 選手権全国大会ではベンチ入りする予定だが、「やればやるほどやめられないのが全国大会なんだけど(微笑)、これが正木の監督としての出発でもあるし、彼が色々な思惑の中で出発をしたり色々なことを喋ったりする中で彼の監督人生が始まるので、しっかり正木監督のお手伝いをしていきたい」。表彰式の挨拶で青森サッカー発展への貢献を感謝されていた名将は、3年生たちの集大成の戦い、また新体制の船出を見届けて新たな挑戦をスタートする。


(取材・文 吉田太郎)
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