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[MOM4078]帝京大可児MF松本翔暉(3年)_鎖骨骨折を乗り越え…ベルナルド・シウバに憧れるレフティが口火を切る一撃

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帝京大可児高MF松本翔暉

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[11.5 選手権岐阜県予選準決勝 帝京大可児高 3-0 美濃加茂高 グリーンフィールド中池]

 美濃加茂高は5バックで守備重視の布陣。早めに先制点を奪えなければ、攻めあぐねて1点勝負になったとしても不思議ではない。しかも、帝京大可児高のエース・FW永井斗梧(3年)は怪我明けで控えに回り、点取り屋のFW長谷部希星(3年)は第二中足骨の骨折でベンチ外となり、攻撃の核になるべき選手がいない不安もある。相手に付け入る隙を与えないためにも、欲しいのは早い段階での先制点。その中で生まれたMF松本翔暉(3年=刈谷Jrユース)のゴールは、試合の展開を楽にする上でも大きな価値があった。

 前半7分、最前線でプレーするMF都築桜介(3年)が左サイドに流れ、深く抉ってゴール前に折り返す。ここに飛び込んだのが松本だった。「突破してくれると思っていたので、どうやって中に入るかを考えていたんです。マイナスのボールであれば合わせられるポジションが空いていたので、そこに入ろうと決めた」。瞬時に状況を見極めると、右サイドハーフのポジションから中に陣取って右足で冷静に流し込んだ。

 先制点をもたらすと、その後も右サイドの位置で積極的にパスを引き出し、前にボールを運んでいく。同サイドのSB増井俊介(3年)との連携も良好。どちらかが中を取ればオーバーラップし、外を取ればインナーラップで相手の守備網を切り裂く。5人が並ぶ最終ラインを早々に打開する上で、松本の仕掛けがポイントになっていたのは間違いない。

 昨季からトップチームに帯同しており、今季はレギュラーとして活躍が期待されていた松本。MFベルナルド・シルバ(マンチェスター・シティ)に憧れるレフティだが、今季は悔しい想いを味わってきた。4月2日に行われたプリンスリーグ東海の開幕戦で右の鎖骨を骨折し、長期離脱を余儀なくされたのだ。

 手術でボルトを埋め込み、実線からは約3か月離れた。インターハイ予選にも出場できず、復帰の舞台となった本大会の1回戦でも後半開始からの出番。チームも旭川実高に0-1で敗れ、不完全燃焼のまま高校最後の夏を終えた。

 しかし、負傷が無駄になったわけではない。「怪我した直後は『うわー、どうしよう』って思った」のだが、人生で最も長くサッカーから離れた時期をプラスに捉えて新たなチャレンジに励む。

 同じく負傷離脱をしていた中学時代からのチームメイト・永井ともにリハビリに励むと、下半身を徹底的に鍛え上げてフィジカル面を強化。当たり負けしない身体を手に入れ、復帰後は簡単に倒れなくなり、独力でボールを運ぶ場面も増えた。

 そのプレーに仲井正剛監督も太鼓判を押す。

「前半戦は試合に出られず、悔しさがあったはず。その想いもあって、最近は良いパフォーマンスを見せるようになってきた」

 選手権出場まであと1勝。「最後の冬なので、全国の舞台で活躍をして名を上げたい」と意気込むサイドアタッカーは現状に満足していない。チーム初の4大会連続となる選手権出場を掴むべく、決勝でも試合を決める活躍を誓う。
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(取材・文 松尾祐希)

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