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「0-0は、もう要らない」…大きく“色”を変えた尚志、学法石川退けて2年連続福島県制覇!!

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尚志高が2年連続13度目の選手権出場を決めた

[11.6 選手権福島県予選決勝 尚志高 4-1 学法石川 西部サッカー場]

 6日、第101回全国高校サッカー選手権福島県予選決勝が郡山西部サッカー場で開催され、前年度代表の尚志高が粘る学法石川高を4-1と退け、2年連続13度目の切符を手にした。

「今年は0-0の試合を観たくない。点を取られないことではなく、取られてでもそれ以上に取るサッカーを目指していく」

 昨季の尚志は全国大会やプレミアリーグ参入戦のような大事な試合をことごとく0-0からのPK戦で落としており、「PKで負けることがあるのは仕方ないのだけれど、全部0-0だったのは本当に残念だった」(仲村浩二監督)という反省を踏まえ、チームの天秤を攻撃に大きく傾けてチームを作ってきた。

 この決勝は、そんな仲村監督の言葉を裏付けるような試合となった。

「相手のエースがベンチにいるのを観て、後半勝負の狙いだと思ったので、逆にこちらは前半から点を取って試合を決めにいこうと思った」

 県リーグ得点王の学法石川FW谷唯煌(3年)がベンチにいることから相手のゲームプランを察した仲村監督は、あらためて選手たちに「今季の尚志らしくボールを動かしながら崩しに行く」ことを強く意識させて試合に入る。序盤からアクティブに仕掛けにいった尚志の姿勢は3分に早くも実る。

 3分、MF岡野楽央(3年)のCKからのセカンドボールだった。ペナルティーエリアの外で「こぼれ球を拾うために」ポジションを取っていたのは、左サイドバックのDF白石蓮(2年)。「相手DFが来ていたので、利き足とか関係なかった」と迷わず右足を振り抜くと、これが見事にゴールネットを揺らす一撃となった。

 その後も後方から意図のあるビルドアップを見せて両翼から切り崩しにかかる尚志のペースで試合は進む。29分には岡野のスルーパスを受けて裏へと抜け出したMF吉満迅(3年)が「冷静にGKを見られた」と鋭く飛び出した学法石川GK池田翔(3年)をかわし、試合の流れを決定付ける2点目を流し込んだ。

 さらに後半12分、鋭い動きからのインターセプトを見せた吉満が得意のドリブルで左サイドを破って折り返すと、FW笹生悠太(3年)が合わせて、決定的な3点目が生まれた。

 学法石川も中盤中央に入って攻守の軸となっていたFW阿部吉平(3年)を中心に反撃を試み、前半36分にはFWの谷も投入して勝負に出てもいた。後半20分には阿部の鋭いFKから奪ったCKがそのままゴールインするという反撃の1点も生まれたが、試合を通じてシュートはこの1本のみ。逆に39分に、「相手を観察しながら、途中出場で試合に入っていくのは慣れている」という尚志FW網代陽勇(3年)に4点目を浴びて、反撃及ばず。試合終了となった。

 尚志は2年連続で福島県を制覇することとなったが、前年度とは大きく色を変えての全国舞台となる。「0-0は、もう要らない」(仲村監督)。

(取材・文 川端暁彦)
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