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[MOM4088]各務原MF大久保淳平(3年)_自分を変えるために背負った10番の重責…1G1Aのエースが示したフォア・ザ・チームの精神

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No1のテクニック、各務原高の10番を背負うMF大久保淳平

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[11.5 選手権岐阜県予選準決勝 各務原高 2-1 中京高 グリーンフィールド中池]

 各務原高でテクニックはNo1。10番を背負うMF大久保淳平(3年=若鮎長良FC)は攻撃センスに溢れ、創造性豊かなパスとキレのあるドリブルが武器の選手だ。しかし、下級生の頃は自分が好きなプレーだけをしていればいいと思っていた。現代のサッカーにおいて、そんなことは許されない。苦手な守備面を向上させられず、下級生の頃は控えに甘んじた。

 そうした自分と決別したい――。大久保は新チームが発足すると10番を自ら求めた。元々好きだった背番号は14。シャビ・アロンソ中村憲剛に憧れていた影響で1年生の頃から背負っていた番号を捨て、新たな自分と出会うためにエースナンバーを背負う決断を下した。

「10番を背負った先輩たちの姿を見てきた。みんなを鼓舞したり、背中で語るプレーを見せていたので、僕自身がチームのために戦いたい」

 強い覚悟を持って10番を背負うと、徐々にプレーが変わってきた。大久保の変化をキャプテンのGK大島裕雅(3年)もこう証言する。

「夏に一度ゲームキャプテンマークを巻いて大久保が試合に出た。その際に変わったなと感じた。大久保はボールに触るのが好き。その一方で守備が苦手な選手だったんです。でも、その試合では仲間に声をかけながら、自分自身も前からプレスをかけて、競り合いでもガツガツいっていた。そういう姿勢が下級生の頃に見られなかった部分」

 環境を変えたことで、今までのように自由奔放にプレーする選手ではなくなった。その積み重ねが準決勝でも現れた。前半32分にMF山下彪弥(3年)のゴールをロングフィードからお膳立てし、後半8分にはMF細野裕介(3年)のミドルシュートをGKの手前で触って勝ち越し点を決めた。しかし、この日は攻撃だけではなく、守備でも貢献。前からボールを何度も奪いに行き、球際でも強さを見せて戦う姿勢を全面に出した。

「好不調の波があったり、守備のところが課題。でも、今日は守備も攻撃も良くてチームに良い流れを作ってくれた」(梅野剛監督)

 その言葉からも成長が見て取れる。昨年までの好きなプレーに拘るかつての自分はもういない。攻守で貢献できるプレーヤーになり、チームを3年ぶりに決勝進出に導いた。

 仲間のために戦う姿勢は自身の進路にも影響を与えている。卒業後はサッカーから離れて大学で理学療法士を目指すと決めた。高校1年生の時に左膝の半月板を損傷し、2年生の頃は筋肉系のトラブルが絶えなかったが、その際に支えてくれた中路隼人トレーナーの姿が新たな夢を見つけるきっかけとなったのだ。

 本気でサッカーをやれるのも残り僅か。高校サッカーを通じて技術だけではなく人として大きく成長した10番は、お世話になった人に感謝を伝えるためにも最後の冬は負けられない。

「チームを全国に導いて、監督やスタッフ、親やチームメイトに恩返しがしたい」

 10番に相応しいプレーヤーとなった男は12日の決勝でもチームのために全力を尽くす。
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(取材・文 松尾祐希)

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