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2連覇まであと一つ…奈良育英、敗れた五條の“思い”も受け止めて決勝の舞台へ

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奈良育英高がPK戦を制して決勝進出

[11.6 選手権奈良県予選準決勝 奈良育英高 1-1(PK4-2) 五條高 橿原公苑陸上競技場]

 6日、第101回全国高校サッカー選手権奈良県予選の準決勝が行われた。第2試合では、前回大会の決勝戦で相まみえた奈良育英高五條高が対戦。1-1のまま、もつれ込んだPK戦を奈良育英高が制し、2連覇に王手をかけた。

 後方からのビルドアップで相手を揺さぶってボールを繋いでいく奈良育英と、前線からの堅守とドリブルを生かした素早い攻撃の五條の対戦は、前半中は両チームともラストパスが思うように繋がらず、うまく決定機を作れない。スコアレスで折り返した。

 試合が動いたのは、後半に入って間もない3分。奈良育英がGKを含めた最終ラインでビルドアップしていた一瞬の隙を突き、五條FW幸田愛流(3年)がボールを奪取。幸田は追いかけてくる相手選手を振り切り、ゴールへと叩き込んだ。

 追う奈良育英高はCKなどチャンスを作るものの、得点に繋げられないまま時間は経過していく。残り時間も少なくなった39分、交代出場していたMF尾嵜雄太(3年)の放った強烈なシュートはバーを叩いたもののラインの内側へ。終了間際になってようやくリードする五條を捉えた。

 10分ハーフの延長戦では、奈良育英高にはFW濱上大輝(3年)のシュートが、五條高にはMF越野統士(1年)のシュートがあったものの、互いにゴールを許さずPK戦に突入。PK戦の結果、4-2で先攻の奈良育英が決勝戦へと駒を進めた。

 試合後、五條の山岡敬弘監督から、五條ベンチにあった千羽鶴を受け取ったという奈良育英・梶村卓監督。「賛辞の言葉と共に頂いた。けれど、むしろこちらが五條高校さんの、トーナメントで着実に勝ち上がってこられる強さを見習わなければならない」と話し、「勝ったチームもあれば、負けたチームもある。その思いを受けた上で戦わなければいけない」と、千羽鶴を受け取ると同時に五條や他チームの悔しさなども改めて受け止めた。さらに「多くの方が応援に駆け付けてくださった。そういう人たちへの感謝も含め、いろんな人の思いはピッチに表れる。それを決勝でしっかり表現したい」と意気込みを語った。

 奈良育英のキャプテン・DF久代和夢(3年)は、「自分たちは今年、奈良県では唯一プリンスリーグで戦わせてもらっているチームなので」と話していた。これは決して驕りではない。リーグ戦で厳しい試合も多くある中、選手それぞれがその時に立つ場所で、なすべき務めを懸命にやってきたことへの誇りだ。今年も奈良育英のフィールドの選手たちは皆、どのタイミングでもどのポジションでも出場できる準備ができている。成長を積み重ねてきた各々の力で巡ってくるチャンスを確実にモノにし、連覇を達成したい。

(取材・文 前田カオリ)
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