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選手権まであと1勝。神村学園FW福田師王は「アイツはやっぱり凄えな、だから海外行くんだなと」思われる結果を

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神村学園高のU-19日本代表候補FW福田師王(3年=神村学園中出身)がオーバーヘッドシュートでゴールを狙う

[11.11 選手権鹿児島県予選準決勝 神村学園高 2-0 出水中央高 白波スタ]

「得点という部分で結果を残して、見ている人がアイツはやっぱり凄えな、だから海外行くんだなと思えるように結果を残していきたい」。神村学園高のFW福田師王(3年=神村学園中出身)は、高卒で海外へチャレンジするストライカーとしての実力をピッチで示す。

 10月27日に23年からのボルシアMG(ドイツ)加入が内定。Jリーグではなく、ドイツでプロ生活をスタートすることを決断した。進路を決め、気持ちを切り替えて臨んだ選手権予選だが、この日は無得点。それでも、背番号13はDFとの駆け引きを常に繰り返し、動き出し勝負で上回ってシュートに結びつけていた。

 マークを外してダイビングヘッドを狙い、ターンから右足シュートを狙う。またゴールを背にした状態からオーバーヘッドでシュートを狙うシーンもあった。チャンスと言えない状況からでも何かを起こしてしまいそうな空気感。思うようにボールが入らなくても、淡々と次のプレーに臨み、また味方選手への要求、DFとの駆け引きを繰り返していた。

 やや他の選手を活かす動きを心がけているように映った前半から、「(有村圭一郎監督から)『ちょっと落ちて自分で行け』みたいに言われたので、変えました」という後半はよりボールへの係わりを増やしてゴールを目指した。だが、相手DFの好守に阻まれるなど無得点のまま、後半37分に交代。「ゴールへ向かう姿勢だったり体の向きが全然足りないです」と首を振った。

 昨秋から怪我に悩まされた一年。「色々注目されている部分、絶対に結果を残さないといけない」という思いと裏腹に、ピッチに立てない時期もあって思うような結果を出すことができていない。本人には「ヤバいなという気持ち」もあるという。だが、弱みを見せず、ピッチに立てば、誰よりも相手の脅威となり、シュートでも、チャンスメークでも、守備でも、一番のプレーを目指してきた。

 今回の選手権に対する思いは特別だ。「最後っていう部分で色々でありますね、自分の中では」と福田。「点を決めないのが一番悔しいんですけれども、もっとやらないといけないのでシュートの本数だったり、攻撃への係わりの回数も、アシストももっと増やしたい」と力を込める。

 向上心の強さはズバ抜けている。ドイツへの挑戦を決めた理由は、純粋に「挑戦したいという気持ちが一番でしたね」と明かす。「早く世界のレベルに追いつきたいという気持ちもありますし、難しいところに自分から飛び込んで活躍するというところに自分は憧れているので挑戦したい。言葉の部分でも成長できるので、そうすれば人としてもまた成長できるのでより一層大人になれる」と前を向く。

 今年は欧州に2度渡り、自分の現在地を感じることができた。「(欧州は)フィジカルの部分だったりプレースピードの速さが速くて焦りがあります。(感じたことは)やらないといけないな、負けたらいけないなと」。そして、「(特に)自分のことを大切にしてくれるクラブだと思う」という理由でボルシアMGを進路に選んだ。

 1月にドイツへ渡るまでに少しでも成長、結果を残すことが目標だ。プリンスリーグ九州からプレミアリーグへの昇格、選手権日本一と得点王……残りの高校生活でやれることを全てやり切ること。「キチンと日本で結果を残してあっちに行けたらなという思いは自分の中ではあります」。有村監督が「めちゃくちゃサッカーに関して努力家。伸びしろは全然あると思います。全然完成していない」という“努力のストライカー”。この日の試合後、会場外でファンの対応をしていた福田は、決勝で地元のファンや恩師、関係者たちの前でゴールを決め、神村学園を勝たせて一つ“ノルマ”をクリアする。

(取材・文 吉田太郎)
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