[11.12 選手権山梨県予選決勝 山梨学院2-1(延長)帝京三 JITス]

　2年前の選手権覇者が再び本大会への切符を掴んだ。第101回全国高校サッカー選手権・山梨県予選は12日に決勝を開催。山梨学院高と帝京三高の対戦は、1-1の延長戦の末、山梨学院が2-1で勝利。3年連続9度目の選手権出場を決めた。

　3年連続の県制覇、また県内タイトル3冠を目指す山梨学院は、4-3-3の布陣を敷く。GKは廣瀬大翔(3年)で、4バックは左からDF庄司優作(3年)、DF歳藤稜久(3年)、DF芳野伯(3年)、DF鈴木琉斗(1年)が並ぶ。アンカーはMF臼田康太郎(3年)で、インサイドハーフはMF吉本堅翔(3年)とMF宮岡拓海(3年)。前線3枚は左からFW野田駿人(3年)、FW小棚木蒼大(3年)、FW五十嵐真翔(2年)となった。

　7年ぶり11回目の出場を狙う帝京三は、4-4-2の布陣。GKは榎本健人(3年)で、4バックは左からDF原田飛鳥(2年)、DF加賀玲至(3年)、DF北田秀也(3年)、DF西澤篤成(2年)を起用。ボランチ2枚はMF辻友翔(2年)とMF矢崎優(3年)。左サイドはMF雨宮功典(3年)、右サイドはMF桑原一斗(2年)で、2トップはFW藤浪宏樹(3年)とFW川田朔太郎(2年)が入った。

　序盤から試合は動く。帝京三は前半9分、藤浪が左サイドラインからロングスロー。ゴール前まで飛ぶと、相手選手のクリアミスはそのままゴールラインを割る。帝京三は相手のオウンゴールで先制点を奪った。

　だが、帝京三の相良和弘監督は「いい時間で取れたといえば取れたのかもしれないが、落ち着いてしまったことで綺麗になりすぎた」と振り返る。その後、帝京三は勢いに乗ることはできず、前半残り時間は攻められる時間が続いた。一方、山梨学院は「(早々の失点で)逆に緊張がほどけた」(小棚木)。帝京三のストロングであるセットプレーを集中して防ぎ、守備からいい流れを作っていった。

　そして、山梨学院が前半終了間際に試合を振り出しに戻す。五十嵐が右サイドで相手の股下を通しながら鮮やかに突破。すかさずゴール前にグラウンダーのクロスを上げる。ファーサイドから詰めた野田がスライディングで合わせるが、GK榎本のセーブに阻まれる。しかし、こぼれ球を小棚木が押し込み、同点ゴールを挙げた。

　1-1で前半を折り返すと、後半から帝京三が攻勢を強めた。ハーフタイムに投入されたMF櫻井元舟(2年)や後半20分から出場したMF朝比奈漱が何度もチャンスを作る。後半30分には辻がミドルを放つも枠外。37分には波状攻撃を仕掛け、最後は雨宮が敵陣内からシュート。だが、これもゴール上に大きく外れた。山梨学院もサイドからチャンスを作っていくが、両者ともに決定機を決められず、延長戦に突入した。

　決着がついたのは延長後半3分。山梨学院は途中出場のDF高柳亮吾(2年)が左CKを蹴る。敵陣付近でこぼれたところを、臼田が右足アウトサイドでシュート。ボールはゴール右隅に決まり、逆転に成功した。終盤にかけて帝京三は相手PA内に進入し、鋭いシュートを放つが、山梨学院の守備ブロックを破れずにそのままタイムアップ。山梨学院が接戦を制し、3年連続の選手権出場を決めた。

　帝京三の相良監督は敗戦を振り返る。「負けたのはたしかなので、自分たちが積み上げてきたことができたかできていないかだけだった。前半はできなかった。後半はできるようになった。けど負けた」。先制後の戦い方に悔しさをにじませた。「まだプリンスリーグ参入戦もある。次の挑戦権を得ているし、反省しながらやっていかないといけない」と気持ちを切り替え、次の戦いに目を向けた。

　自身も現役時代に3度選手権に出場し、今季から山梨学院を指揮する羽中田昌監督は、「帝京三高さんは本当に力強く、見事なチームでした。そのチームに逆転勝利することは、すごい価値があった。帝京三高さんに感謝します」と相手をねぎらう。「ここから先、選手たちは全国に向けて見る風景が違ってくるはず。一番成長する時間ではないかな。それを持って、全国で暴れることは十分に可能だと思います」。指揮官として挑む全国の舞台で躍進を誓った。

(取材・文　石川祐介)

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