beacon

負の記憶とジンクスを拭い去った大津…因縁深いライバル・ルーテル学院を圧倒し、16年ぶりの“選手権連続出場”!!

このエントリーをはてなブックマークに追加

2年連続19度目の出場を決めた大津高

[11.12 選手権熊本県予選決勝 大津高 4-0 ルーテル学院高 水前寺]

 12日、第101回全国高校サッカー選手権熊本県予選決勝が行われ、前年度全国準優勝の大津高が立ち上がりからルーテル学院高を押し込んでいく内容で快勝。2年連続19度目となる選手権出場を決めた。

「超越」の二文字をスローガンとして掲げた今季、大津は前年度の全国準優勝を超える、つまり全国制覇を現実的なターゲットとして捉えてチームを作ってきた。選手たちの口からも常に「全国優勝」という目標が語られてきた。

「ただ、そうは言っても(選手権の)予選は簡単じゃない」(大津・平岡和徳総監督)

 打倒大津を誓って挑んでくる熊本の強豪校に対し、大津はこの予選で苦しんできた歴史がある。最後に連続出場を果たしたのは実に16年前のことで、そこからは毎年異なる「熊本王者」が誕生してきた。

「僕らが、僕が悪いんです。自分たちの世代からそうなってしまった」

 そう語ったのは大津を率いる山城朋大監督である。15年前の07年大会、大津は敗れて9年連続出場を逃した。このときから「大津は連続出場できない」というジンクスが始まってしまった。

 山城監督にとって「開始早々に自分が退場してしまった」という苦い記憶が残る敗戦で、奇しくも相手は同じルーテル学院。この決勝は、そんな負の記憶とジンクスを払しょくするための試合でもあった。

 試合を前に、平岡総監督が強調したのは「普段通りでいけ」ということ。その言葉だけだと普通の声掛けに思えるが、ニュアンスはちょっと違う。

「われわれの『普段通り』というのは高円宮杯プレミアリーグを戦っている『普段』と同じということ。ユースの強豪相手に向かっていくときと同じようなチャレンジャーの気持ちで、予選の試合にも向かっていく」(平岡総監督)

 ゲームプランも、受けて立つのではなく、まず向かっていくことを強調した。

「ルーテルさんが引くことはないと思っていた。最初から畳み掛けに来るのが相手のスタイルなので、それならばこちらから行ってみようと思っていた」(山城監督)

 選手にもこの意図は伝わっており、「最初からどんどん行こうと思っていた」と左サイドバックのDF田辺幸久(2年)が語ったように、決勝戦にありがちなリスクをかけない様子見の展開ではなく、序盤から大津が果敢に仕掛ける試合展開に持ち込んだ。

 その姿勢が前半9分に早くも実る。MF田原瑠衣(3年)のクロスをFW小林俊瑛(3年)が191cmの高さを活かして折り返すと、そこに待っていたのはFW山下基成(3年)。「小林のこぼれ球はいつも狙っている」と語る男の先制弾で、試合は動き出した。

 こうなると、試合は大津ペース。サイドバックの攻め上がりも有効に使いながら押し込み続ける。ルーテルもDF池田桜介(3年)、DF厚地陽賢(3年)を中心に小林の高さへの対応を含めて粘り強く戦うが、攻撃の糸口はなかなか掴めなかった。

 前半37分には田辺のクロスを小林が受け、最後はMF井伊虎太郎(3年)が押し込む形で追加点を奪い取ると、後半16分にも田原のFKからの流れでDF碇明日麻(2年)のヘディングがポストに当たった跳ね返りを小林が押し込んで、3-0。そして後半40分には交代出場のMF浅野力愛(3年)のパスを受けたMF中馬颯太(3年)がトドメの1点を押し込み、4-0と点差を大きく広げた。

 ルーテルも途中出場のMF松本彩夢(3年)のドリブルなどから打開を図ったが、「本当に良くなった」と平岡総監督も成長ぶりに目を細める大津のディフェンスラインを切り崩すには至らず。シュート数20対1という数字が象徴する内容で因縁深いライバル校を圧倒した大津が、実に16年ぶりとなる選手権連続出場を決めた。

(取材・文 川端暁彦)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2022

TOP