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[MOM4113]帝京五GK飯島悠翔(2年)_チームを救った175cmの守護神「全国で勝たないと見返せない」“夢”のための戦いは続く

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帝京五高GK飯島悠翔(2年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[11.13 選手権愛媛県予選決勝 今治東中等教育学校 0-1 帝京五高 ニンジニアスタジアム]

 1点リードで迎えた終盤は、同点弾を狙った今治東中等教育学校の猛攻を受け続けた。危ない場面は何度もあったが、帝京五高のゴール前に立ちはだかったのは175cmの守護神GK飯島悠翔(2年)。アディショナルタイムのシュートを防いだ瞬間にタイムアップの笛を聞いた飯島はボールを抱えたまま、ピッチに倒れ込み、涙を流したという。

 飯島にはこの日、勝たなければいけない理由、無失点に抑えなければいけない理由があった。6月に行われたインターハイ決勝も同じ会場で、同じ対戦相手。雨が降っていたこともあり、クロスのキャッチは難しいと判断し、パンチングしたボールを今治東のFW大荒陽平(2年)に決められ、先制点を献上。FW一瀬健斗(3年)のゴールで前半のうちに追い付いたが、後半に2失点目を許し、涙を飲んだ。当時を知る主将のMF武田健汰(3年)は、「やっと決勝に戻ってきて、リベンジへの気持ちは人一倍あったと思う」と口にする。

 総体が終わってからは、人一倍自主練をしてきた。雨の日の対策もやってきた。そうした積み重ねによって、夏よりも自信は増している。リベンジマッチは全国行きがかかった一戦でもあるため、空回りしてもおかしくない状況だが、至って冷静だった。「今日は総体を経験しているので、緊張しなかった。逆に後ろの選手が緊張したら、チームがグダグダになると思うので、緊張しないよう意識していました」。そう振り返る飯島は大一番だから特別なことをするのではなく、普段のルーティンを崩さないよう意識していたという。

 見せ場が増えたのは、押し込まれる場面が増えた後半になってから。後半21分にはカウンターからMF高橋周斗(3年)のパスを受けた大荒にドリブルでゴール前まで持ち込まれたが、「小さい分、セービングや1対1が得意なので、良い感じで1対1を仕掛けられました」とタイミングよく前に出てシュートをストップ。29分にはロングボールをゴール前に入れられると、DFが競ったこぼれからDF加地誉志輝(3年)に強烈なシュートを打たれたが、落ち着いて対処した。

 後半アディショナルタイム3分にはDFが粘り強くPAから掻き出したボールに詰めたDF三好康介(2年)にループシュートを打たれた。少し前目にポジションをとっていた飯島は慌てて戻って、手を伸ばすとバーに当て、こぼれ球をキャッチ。「本当はバーの後ろに弾きたかったのですが、思った以上に身体が逸れて、上にあげるしかできなかった。目の前に落として、その後すぐ判断できたのが良かった」と安堵の表情を浮かべた。

「総体の時から試合を経験させて貰って来た。今治東さんとの決勝は雨でコンディションが良くなくて、僕のキャッチミス、判断ミスで1点獲られて、負けてしまった。今回の決勝はミスをしないように、必ずチームを全国に導くよう無失点で戦おうと思っていました」

 試合後、涙を浮かべた理由は「夏の総体の悔しいイメージが浮かんで泣いてしまった。全国出るために、この高校に来たので、やっと全国に出られたという想いもあった」ためだという。中学時代は神奈川県座間市にある「Vida SCいさま」でプレー。県内の強豪校からも誘いはあったが、親元を離れて自立したいとの想い、中学時代に全国出場を目指していた4歳上の兄の分まで頑張りたいとの考えによって、帝京五への進学を決めた。愛媛から全国大会に出て、「お兄ちゃんの方が良かった」と言ってきた人たちを見返したい気持ちもあったという。

「全国で勝たないと見返せない」と話す彼にとって、今日の勝利はまだ行程の途中に過ぎない。狙うは全国大会での活躍とプロサッカー選手になることだ。「身長がないし、あまり才能がない才能がない僕でもプロサッカー選手になれるんだ。努力したらなれるんだというのを子どもたちに教えるのが、僕の夢です」。そう意気込む飯島の活躍は、これからも続いていく。

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(取材・文 森田将義)

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