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過去6度の日本一、名門・国見が12年ぶりの選手権出場…結実したサイドアタック!! 創成館を後半AT劇的弾で撃破

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国見高が12年ぶりの選手権出場を決めた

[11.13 選手権長崎県予選決勝 創成館高 1-2 国見高 トランスコスモススタジアム]

 13日、第101回全国高校サッカー選手権長崎県予選決勝が行われ、過去6度の選手権制覇を経験している名門・国見高創成館高に2-1で勝利。12年ぶり24回目となる選手権出場を決めた。

 これぞ高校サッカーという好ゲームとなった。試合直前までは雨模様ながら試合中に晴れていくという選手にとっては少し難しさもある天候の下、ゲーム展開も波乱の連続だった。

 先手を取ったのは黄色と青のユニフォームに袖を通す国見だった。開始4分、「最初は全然うまく蹴れなくて苦しかったけれど、今年ずっと練習してきて今は自信を持って蹴れている」と言うMF北村一真(3年)のCKからDF平田大耀(2年)がヘディングで合わせてゴールネットを揺らす。「先制点が大事になると思っていた」と言う木藤健太監督もホッと安堵するゴールだったが、むしろここから歯車が噛み合わなくなった。

「早く点を取れたことで、逆にこの1点を守りたいという気持ちが出てきてしまっていた」(木藤監督)

 失点したことで逆にスイッチが入った創成館が盛り返し、主将のMF田川蓮翔(3年)、10番を背負うMF篠原太希(2年)らが中心となって反撃を開始。26分にはFW波多野太一(3年)が強烈な弾道のスーパーミドルシュートを決めて同点に追い付く。その後もペースを握り、34分には右サイドを崩して篠原がアクロバチックなシュートを狙う絶好機も作ったが、これは枠上へ逸れてゴールならず。1-1の同点のままハーフタイムを迎えた。

「いまは苦しい時間が来ても、みんなで声を出し合って我慢できるようになっている」と国見MF濱田渉帆(3年)が振り返ったように、この流れで逆転を許さなかったことが試合の分かれ目となった。

 ハーフタイムに「(戦術的な)立ち位置のところを修正し、判断を早くすることを徹底した」(木藤監督)ことで後半からは国見が徐々にペースを握っていく。「相手が中を固めているので、外からクロスで点を取る練習をずっとしてきた」(北村)という言葉どおり、こぼれ球を拾ってサイドに散らしてクロスで勝負という展開を繰り返していく。

 ただ、後半14分に北村に決定機があった他、多くのチャンスを国見が作り出したが、ゴールは生まれない。逆に創成館も、劣勢の展開にあってもゴールへの意欲と闘志を失わないFW波多野が後半30分にクロスからのヘディングで決定的なチャンスを迎えるなど緊張感のある攻防が続いた。

 試合が動いたのは延長戦濃厚となったアディショナルタイムだった。「足が痛かったので延長は嫌だった。絶対に決めてやると思って攻め続けていた」と笑って話す北村を軸とした粘り強い攻勢がついに実を結ぶ。

 ゴールはやはりサイド攻撃から。右サイドでボールを受けた主将のDF村田一翔(3年)のクロスはいったん相手DFに阻まれたものの、こぼれ球を拾って再クロス。「もともとクロスはそんなに得意じゃなかったので、ずっと練習してきた。その練習でずっとやって来た形だったので、自然とリラックスして蹴れた」というボールは、交代出場でピッチに入っていたFW利根悠理(3年)の頭へピタリ。

 こちらも「クロスに合わせるのは苦手だったので、ずっと練習してきた」というストライカーが、その成果を見せ付けるような見事なヘディングシュートでゴールネットを揺らす。そして、この一発が決勝点となった。

「創成館さんの体を張って絶対に守るんだというプレーは本当に素晴らしくて僕らも勉強になった。でも選手たちは本当によくやってくれました」(木藤監督)

 幾多の栄光に彩られ、人々の記憶に残り続ける伝統の青と黄色のユニフォーム。7度目の日本一を目指す国見が、12年ぶりに選手権へ帰ってくる。

(取材・文 川端暁彦)
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