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“黄金世代”が挑むラストイヤーの大会で連覇!! 東山、ライバル京都橘下して全国への切符獲得

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2年連続5回目の選手権出場を決めた東山高

[11.12 選手権京都府予選決勝 東山高 3-0 京都橘高 サンガS]

 第101回全国高校サッカー選手権大会・京都大会の決勝戦が11月12日にサンガスタジアムbyKYOCERAで行われた。対戦カードは連覇を狙う東山高と、2年ぶりの優勝を目指す京都橘高。府内を代表するライバル校が激突した。

 序盤は両チーム共にパスとロングフィードを使って前線へボールを送り込む形で始まり、次第に東山がペースを握っていく。セカンドボールを拾って、相手のプレスをかわしながら攻撃を組み立てる場面が増えていった。サイドへ展開して仕掛ける、もしくはセットプレーを獲得してチャンスをうかがう。先制点は18分。CKの二次攻撃から右サイドでパスを受けたMF松橋啓太(3年)がワンタッチでスペースへボールを流すと、それに反応したMF真田蓮司(3年)がサイド深くまで持ち込んで中央へ折り返す。これをMF阪田澪哉(3年)がダイレクトで蹴りこんで、東山がリードを奪った。

 その後も東山が優勢に試合を進めるが、京都橘も失点以降は懸命の守備で決定機を作らせない。京都橘は準決勝まで採用していた3バックから、決勝戦は4バックに変えてきた。プリンスリーグ関西でも同様の布陣で数試合をこなすなど、決戦へ向けて準備してきたプランで挑んでいる。21分にMF福永裕也(2年)のミドルシュート、26分にはMF幕内実(3年)のロングスローからDF園田優翔(2年)が頭であわせるなどチャンスも生まれ始める。前半は1-0、東山リードで折り返した。

 後半5分、次のゴールを奪ったのも東山だった。FKからDF仲里勇真(3年)の蹴ったボールをファーサイドでFW豊嶋蓮央(3年)が頭で折り返すと、フリーで走りこんだ阪田が押し込んでリードを広げる。このFKの直前に豊嶋はキッカーの下へ行き、自分にあわせるように要求したという。「セットプレーのときの(豊嶋の)マーカーは身長がそれほど高くなくて、ミスマッチを突けると思った」(真田)という狙いが見事に的中して、追加点をアシストしている。

 追いかける京都橘は、ハーフタイムに投入されたMF西川桂太(2年)らがボールに絡んで攻撃の機会を増やしていく。前線にパスを入れたところからの仕掛けや、サイドからのクロスに複数の選手がゴール前につめるなど、前半よりも得点の可能性を感じさせる。だが東山の守備も堅く、ゴールは割らせない。逆に後半20分に左サイドのMF清水楓之介(3年)の折り返しを、ゴール前でFW北村圭司朗(3年)があわせて決定的な3点目を奪う。その後の京都橘の反撃も抑えて、東山が3-0で勝利。1年生から多くの選手がスタメンとしてピッチに立ち続けてきた黄金世代が挑むラストイヤーの大会で連覇を果たして、全国大会への切符を手にした。

 試合後、キャプテンDF新谷陸斗(3年)は「自分たちがボールを握る場面も少なからずあり、主導権を握って戦うことができました。相手が攻撃的に戦ってきたときにボランチの二人を中心にボールを奪い、カウンターに出ることも効いていたと思います」と振り返っている。京都橘がシステムを変えてきたことについても「『3バックじゃないんだ』と思ったけれど、どんな形であれタフに戦える選手たちが揃っています。試合の中で対応できました」と自信をのぞかせた。

 福重良一監督は「どんな大会でも、ファイナルへ向かうにつれて精神的に厳しいものがある。試合前に選手たちへ「まず8割の力を出そう」と伝えました。そこから一人ひとりの力を合わせていって、ほぼほぼ現在の実力は出せたと思います」と準決勝・京都共栄戦で苦しんだ経験も踏まえたマネジメントで、チームを優勝へと導いた。全国では昨年の選手権ベスト8を超える活躍が期待される。

  一方、敗れた京都橘は準優勝に終わった。大会初戦の3回戦であわや敗退という苦しいゲームをした後は、実力を発揮してファイナルまで勝ち上がってきたが、全国出場はつかめなかった。副キャプテンのMF上西剛史(3年)は「精神的なところを落ち着かせなきゃいけなかったけれど、自分も含めてあせってしまった。相手のプレッシャーも早く、力不足でした」と唇を噛んだ。そして「相手のロングボールに引いてしまい、前にプレッシャーへ行けず、セカンドボールを相手に回収されていた」と振り返っている。右サイドで攻撃の突破口となるはずのMF丸山大輝(3年)も、いい形でボールを受けられる回数が少なかった。「仲里とは中学3年から、ずっと同サイドでマッチアップしてきたけれど、最後まであいつに勝てなかった」と悔しそうに話していた。

 米澤一成監督は「インターハイの試合もそうだったけど、決めるべきところで決められた」と得点力を指摘。シュート数は8対6とそれほど差はないが、最終的なスコアへ結びつけるところで「相手の方が上手だった」と話している。今年はインターハイ、選手権の両方で東山に全国への道を絶たれたが、リーグ戦も含めて1、2年生が様々な経験を積んだことは来季への糧となる。園田は「もっとできたはず。今年は2年生も多く試合に出ていた。今日の敗戦や3年生の悔しさを無駄にせず、来年は全国へ行かないといけない」と雪辱を誓った。

(取材・文 雨堤俊祐)
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