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細部、勤勉さは世界でも差を生み出す。選手権初出場の飯塚は自分たちの軸を日本代表の姿から再確認

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MF{{村井天}ら飯塚高は細部にこだわる

 ワールドカップで示された「最後の1mmまで諦めない」姿勢。日本の高校生たちは日本代表の勝利に沸いた一方、“先輩たち”の背中からサッカーにおいて大事なことを改めて学び、早くも共有していた。

 日本時間2日早朝に行われたワールドカップグループリーグE組第3節。日本代表は先制されながらもMF堂安律の一振りで同点に追いつき、MF三笘薫のアシストからMF田中碧が決勝点を決めて逆転勝ちした。

 三笘がゴールラインすれすれから田中へ折り返したシーンは大きな話題に。VARが介入した結果、ボールが数ミリラインにかかっていたため、ゴールが認められた。森保一監督も「数ミリの折り返しで、ミリ単位で天国か地獄かというところでは本当に素晴らしい、諦めないプレーをしてくれた」と称賛していたが、その諦めないプレーはテレビで見ていた高校生たちの心に強く響いていた。

 激戦区・福岡県予選を勝ち抜き、第101回全国高校サッカー選手権に初出場する飯塚高が2日午後、飯塚市の筑豊緑地球技場でトレーニング。その開始前のミーティングで、中辻喜敬監督は堂安や三笘の技術面に触れた一方、「最後まで諦めない、勤勉な日本が勝った」と選手たちに語り掛けていた。

 日本代表の目標はワールドカップベスト8以上。本気でその目標を達成するため、勤勉に、細部までこだわって準備し、戦った結果、数ミリの差を引き寄せた。中辻監督は「これがジャパンズウェイ。日本人として、日本のサッカーに誇りを持って欲しい」。そして、日本代表の勝利を「嬉しい」「凄かった」だけで終えるのではなく、飯塚が大事にしている「神は細部に宿る」姿勢がワールドカップでも差を生み出すと感じ取ることなどを期待していた。

 飯塚は昨年度の選手権予選決勝で延長戦の末、名門・東福岡高に敗れている。そこからの52週間(1年間)で1cm、1mmの差を埋めるための努力を全員で行ってきた。そして、今年、東福岡にリベンジして選手権初出場。細部の大事さ、勤勉に続けることの大事さを知っている彼らも、日本代表の戦いから改めて学び、今後に繋げることを誓っていた。

 10番を背負う司令塔・MF村井天(3年)は、「『細部に宿る』『ちょっとのところとかで勝負分ける』と練習のときとかもずっと言われている。日本代表の試合を見ても、サッカーは最後『細部に宿っている』なと思います」。そして、九州トップクラスのボランチでもある村井は、「(日本代表は)格上相手でも勝てるようになってきて凄いなと思って、(改めて)目指したいなと思いました」とプロ、代表への思いも強くしていた。

 12月31日の選手権初陣、明桜高(秋田)戦まであと1か月弱。村井は「今年は(特別な選手がいないが、)全員勤勉さがあって、集中して一つのことに向かって行けるチームだと思います。まずはチームのために走って、練習で積み上げてきたことを試合で全部出したら上に行けると思うので。最後は気持ちだと思う、100%自分たちの力を出せたら優勝とか狙えるんじゃないかなと思います。初出場初優勝したい」。世界で躍動する日本代表の姿から学んだ高校生たちが選手権で勤勉に、諦めず、細部にまでこだわり、目標を達成する。

中辻喜敬監督は「日本人として、日本のサッカーに誇りを持って欲しい」

(取材・文 吉田太郎)
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