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先輩から「やり切ったな」「お疲れさん」「ありがとう」。注目GKの代役務めた津工GK前川大和は来年も「国立に」

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連続失点も先輩たちに連れてきてもらった国立で好守を見せた津工高GK前川大和。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.28 選手権開幕戦 成立学園高 3-2 津工高 国立]

「結果的には負けてしまったんですけれども、試合終わった後も(田中)蒼真君も森田(大翔)君も色々な声がけしてくれて、『やり切ったな』『お疲れさん』と言ってくれたので……来年も絶対に行きたいですね、国立」

 津工高(三重)GK前川大和(2年)はリーグ戦での出場経験こそあるものの、選手権予選では出場無し。それが大会2週間前に186cmの注目GK田中蒼真(3年)の離脱が決まり、そこから急ピッチで国立開幕戦の準備を進めてきた。

 わずかな時間でチームメートとのコミュニケーション、連動性を高め、注目の一戦で先発出場。田中から「もうここまで来たら全然やるだけや」と送り出された2年生GKは、とにかく集中することを心がけて津工のゴールを守った。

 緊張もあった。相手のプレスに臆する気持ちもあった。前半終了間際から後半立ち上がりにかけて3連続失点。それでも、ここで気持ちを切らすことなく守り続け、好セーブも見せたことが終盤の猛追に繋がった。

 前川にとって、田中は「憧れの存在でした」という。「2年生からずっと出ていてベンチで試合見させてもらっていたんですけれども、自分にないところが蒼真君は完璧でやっぱりこんな選手になりたいなと思いました」。この日、田中がいればと思われるようなシーンがあったことも確か。前川はいずれも怪我でピッチに立つことができなかった田中やGK森田大翔(3年)に白星を届けられなかったことを悔しがる。

 それでも、「自分の中でやり切ったと思いました」。その前川に対しては主将のFW庄司壮晴(3年)も、「選手権出れたのは田中のお陰でもあるので、出て欲しいという気持ちもあるんですけれども、前川は2年生であまり出ていないので緊張もあったと思うんですけれども、素晴らしいプレーをしてきたので『ありがとう』と伝えたい」と感謝していた。

 前川は「この国立でセーブできたのは自分の中でもだいぶ成長できるかなというところですし、成長に繋がったんじゃないかなと。経験値も上がったと思います」。今回は先輩たちのお陰で立たせてもらった国立の舞台。1年後、前川は得意のシュートセーブや声がけに磨きを掛けて津工を選手権、そして国立へ導き、必ず白星を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
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