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予選とは異なる“装い”で…盛岡商、帝京五に逆転勝利で16年ぶり選手権白星!!

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優勝した06年度大会以来、16年ぶりの白星を獲得した盛岡商高

[12.29 全国高校選手権1回戦 盛岡商高 2-1 帝京五高 駒場]

 第101回全国高校サッカー選手権1回戦が行われ、浦和駒場スタジアムの第2試合では11年ぶり17回目の出場となる盛岡商高(岩手)と初出場となる帝京五高(愛媛)が対戦。前半をスコアレスで折り返した試合は、後半9分に帝京五が先制に成功する。しかし、同15分と同23分にゴールを奪った盛岡商が2-1の逆転勝利を収めた。

 盛岡商は岩手県予選とは異なる“装い”を見せた。「ずっと、4-4-2でやってきたけど、調整合宿でも守り切れていない部分があった。守備に回るというのではなく、ポジティブな3-4-3に変更した。1年間やってきたものを変えるリスクはあったけど、彼らなら必ず大舞台でやってくれると思った」(盛岡商・中田洋介監督)。選手の特長を生かすだけでなく、全国相手にでも対応できるとの考えもあり、3-4-3という新システムで選手権の舞台に挑んだ。

 その初戦、帝京五戦は前半をスコアレスで折り返した。多くの決定機を作り出したわけではなく、前半のシュート数は盛岡商の3本に対して帝京五には倍の6本を放たれた。「動きは良くなかった部分もあった」と振り返りつつも、「ただゼロで折り返せた。後半に流れを変えられる力があるチームだと思っているので、ポジティブな声掛けができた。0-1や0-2になっていたら厳しかったが、システムを変えるつもりはなかった」と後半に臨んだ。

 しかし、後半9分に試合を動かしたのは帝京五だった。DF松田侑弥(2年)が送ったロングボールに反応したMF樋口志(2年)が最終ライン裏に抜け出すと、巧みな胸トラップからの右足のシュートでネットを揺らし、スコアを1-0とした。

 1点のビハインドを背負った盛岡商だが、焦りはない。「まだ時間もあったし、逆転する試合が今年のチームは多かった。そこが今年のチームの良いところで、気落ちするのではなく、逆に火がついてくれた」(中田監督)。そして、後半13分にMF月折隼斗(3年)をピッチに送り込むと、一気に流れを引き寄せる。

 まずは後半15分、右サイドからDF宮部賢治郎(2年)が送ったクロスのこぼれ球に反応した月折が左足のシュートでゴールを陥れて試合を振り出しに戻す。さらに同23分には、右サイドでボールを受けた月折が対面する相手を翻ろうして中央にボールを送ると、反応したFW原田優汰(2年)が左足で押し込み、逆転に成功した。

 その後は帝京五の反撃を、DF大町陽斗(3年)やGK小原健暉(3年)を中心とした守備陣がしのぎ切り、2-1の勝利。全国優勝を成し遂げた06年度大会以来、実に16年ぶりとなる選手権での白星を獲得に、「11年ぶりの出場で、16年ぶりの1勝。ここに至るまで、全国優勝経験のある伝統高ならではのプレッシャーやいろいろなものがあった中で選手たちが成長してくれたので、大きい1勝だと思う」と指揮官は感慨深げに振り返った。

 次戦では優勝候補の一角にも名を連ねる履正社と激突する。「J内定選手もいるけど、同じ高校生なので、リスペクトし過ぎない。僕らは失うものはないし、(カタールW杯の)日本代表のように何が起こるか分からないのがサッカーだと思っているので、良いサッカーをして勝ちにつなげたい」と意気込みを示した。

(取材・文 折戸岳彦)
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