beacon

W杯余波で高まるPK戦の緊張感…丸岡指揮官は13年前、選手権初陣での借りを返す

このエントリーをはてなブックマークに追加

PK戦で丸岡高(福井)は6人全員が成功させた

[12.29 選手権1回戦 丸岡高 1-1(PK6-5) 高知高 柏の葉]

 5年連続33回目の出場となる丸岡高(福井)と、2年連続18回目の出場となる高知高(高知)。互いに1点を取り合った80分では決着がつかず、勝敗の行方はPK方式に委ねられた。

 おりしも今後にカタールで開催されたW杯で、日本代表がラウンド16でPK戦の末にクロアチア代表に敗戦。アルゼンチン代表とフランス代表による壮絶な点の取り合いが繰り広げられたファイナルも、決着はPK戦だった。PKを巡る議論が各方面で行われるほど、PK戦に日本のサッカーファンは敏感になっており、そのことが高校選手権でも裏付けられた。

 声出し応援も解禁されている中で、キッカーがペナルティマークに近づくと、スタジアムは水を打ったように静まり返り、重い緊張感に包まれた。

「W杯を見ていて、あの子らがPKの重要性をすごく感じていたと思う」。丸岡の小阪康弘監督もW杯の影響があったことを指摘する。その重圧がないかのように、両チームとも5人全員がPKを成功させていく。しかし、先行の丸岡の6人目が成功させたのに対し、高知の6人目は成功させることができず、丸岡がPK6-5で2回戦進出を決めた。「初めてです、全員が決めたの。練習でもなかったので。PKも含めて3年生が我慢してくれた」。丸岡のキッカーを務めた6人はすべて3年生。指揮官は選手の活躍に目を細めた。

「選手権は絶対にPKはある」とその重要性を強調。加えて、初戦で高知との顔合わせということに、指揮官は2009年のことを思い返していたという。小阪監督が丸岡の監督に就任したのが2009年で、その年の選手権では1回戦で高知と対戦し、2-2からのPK3-4で敗れていた。

「PK戦は練習試合とか選手権の前にやっていて、全部負けていたんです」とPK戦で2番手のキッカーを務めたFW小関晴人(3年)は言う。それでも「気持ちでいった」と小関は勝利を振り返った。

 小阪監督にとって選手権で4度目となるPK戦で勝利をおさめ、2大会ぶりとなる2回戦進出。31日の2回戦では、日体大柏高(千葉)と対戦する。

(取材・文 奥山典幸)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2022

TOP