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[MOM4165]聖和学園DF雫駿介(3年)_「自分も左利きでシュンスケなので」FKで2アシスト!! ドリブル軍団で輝く異色のレフティ

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DF雫駿介(3年)が2アシスト

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[12.29 選手権1回戦 聖和学園高 2-0 大分高 オリプリ]

 質の高いドリブラーたちが次々に突破を仕掛け、試合を支配していった聖和学園高だったが、勝利を手繰り寄せたのは二つのセットプレーだった。2ゴールを演出したのはいずれも3バックの一角を担ったDF雫駿介(3年)の左足。同じ故郷に生まれ、同じ名前を持つ“ウルトラレフティ”に憧れを抱く18歳が全国高校選手権の舞台で輝きを放った。

 0-0で迎えた後半8分だった。MF石澤海陽(3年)のドリブル突破でファウルを誘い、左サイド深くで獲得したFK。雫の左足から放たれたボールがゴール前に送り込まれると、プリンスリーグ東北得点王のFW桃原泰河(3年)の頭にピタリと合った。「いいボールですよ、毎回。FKもCKもロングフィードも全部信頼してます」(桃原)。精度の高いキックとエースの得点力が噛み合ったゴールだった。

 さらに後半12分、今度は右サイドでFKを獲得すると、こちらもキッカーは雫。今度はインスイングのクロスをゴール前に蹴り込み、MF榁木良雅(3年)のヘディングシュートで追加点が決まった。1点目からわずか5分足らずでの2ゴール演出。「自分たちの流れが作れなくて、なんとか1点が欲しいところで、いい位置でのセットプレーがあった。ここで決めれば流れも変わってくると思って強い気持ちで蹴った」という雫の理想どおりの流れとなった。

 横浜市のFC緑出身だが、スキルアップを目指してドリブル集団の門を叩いた。「中学校の時に練習試合をして、このチームの魅力を知って、このチームで全国に出たら楽しいだろうなという思いで宮城に来た」。それでもドリブルだけの選手になるつもりはなかった。「全員の足もとがうまいので、自分も足もとだけで勝負したら埋もれていくだけ。違いを生み出すために左足のキックを持ち味に活躍していきたいと思った」と日々の努力を重ねてきた。

「普段はドリブル練習やパスワークが多いけど、自主練でシュートやキックを磨くことで一つでも多くの武器を手に入れられたらと思ってずっと3年間努力してきた」。最大の武器であるキックは個人練習で積み上げ、ドリブル中心のチームスタイルで異色なストロングポイントとなった。「今までの代だとあまりセットプレーが持ち味ではなかったりした中、自分がこのチームに一つ武器ができたことは嬉しく思う」

 左足でのプレースキックは同じ「シュンスケ」の名を持ち、同じ横浜の街で生まれた中村俊輔氏への憧れから磨いてきたもの。「自分も横浜出身で、ずっと中村俊輔選手がマリノスにいた時代からプレーやFKを見て憧れがあった。自分も左利きでシュンスケという名前なので意識してきた」。腰を深くひねるキックモーションも、もちろん“履修済み”。日々のトレーニングでも「精度やキックのキレを出すために何本も何本も蹴り続けて」質を高めてきた。

 またドリブル集団に入ったことの副産物も大いにあった。「聖和学園で足もとの力がついたら、足もとがあるから自信になって、次のプレーとか他のところにも目が行く」。そう手応えを感じているという雫は、181cmの上背を活かした対人守備にも「ずっとハル(藤田晴)とかカイジ(石澤)とかと1対1をやってきたので他の選手に抜かれる気はしない」と自信を示した。

 卒業後は神奈川大に進学予定。入学後に入部セレクションを受ける予定だといい、「まだサッカー部に入れるとは決まっていない。大学はパススピードが速かったり、自分たちが足もとで勝負してきたこととは違う試合展開が多いので、そこに慣れるのがとても大変だと思う」と不安ものぞかせるが、将来性はありそうだ。とはいえ、まずは目の前の大舞台。「選手権でもっと自分のキックや持ち味を活かして、チームが優勝できたらいい」とこの先の戦いを見据えていた。

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(取材・文 竹内達也)

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