beacon

全国初戦の相手は「ずっと応援していた」名門校…星稜ジュニア出身の東山MF真田蓮司「成長したところを見せられた」

このエントリーをはてなブックマークに追加

東山高MF真田蓮司(3年)

[12.29 選手権1回戦 星稜高 1-2 東山高 オリプリ]

 東山高MF真田蓮司(3年=C大阪U-15出身)にとって、星稜高との全国選手権1回戦は普段以上に特別な試合だった。石川県金沢市で生まれ、小学校時代は星稜ジュニアSCでプレー。中学時代に故郷を離れて関西にやってきた18歳の前に、故郷の名門校が立ちはだかった。

 運命が決まったのは11月21日に行われた組み合わせ抽選会。「抽選会を生で見ていて、ふざけて星稜と当たりたいなと言っていたけど、それが本当に来てビックリした」。真田にとって「星稜は小学校、中学校の時にずっと応援していたチーム」。2014年度の全国制覇は地元の小学生という立場で、憧れを抱きながら戦況を見つめていたという。

 とはいえ、いまではライバル関係。「応援していたチームが相手というのは複雑だった」という真田だが、それ以上に負けられない理由があった。

 中学時代に故郷を離れ、セレッソ大阪U-15に挑戦した立場。「ここで負けたら県外に行った意味がないなというのもちょっと思っていたし、プレッシャーもあった」。相手の選手・スタッフには顔見知りも多く、楽しみとともに重圧もありながらピッチに立っていた。

 それでも試合が始まれば、さすがのパフォーマンスを見せた。序盤は失点リスクを避けながらサイドに流れるFW豊嶋蓮央(3年)に縦パスを入れ、一方的な展開に持ち込むと、球際でも上回りながらゲームを支配。「落ち着きのない試合だった」と課題も感じていたようだが、初戦の試合運びとしては上々だった。

 また圧巻だったのは先制直後の前半26分の場面。真田は左サイドの低めでボールを受けると、相手の果敢なプレッシャーに気圧されることなく、股抜きを織り交ぜながら3人を抜き去り、ビッグチャンスにつなげてみせた。「特に考えたプレーではなかったけど普段から股抜きは得意」。失点直後の相手の勢いをへし折る鮮やかな個人技には、スタンドも大いに沸き立った。

 チームは前後半に重ねた2ゴールにより、2-1で勝利。目標の日本一に向けて無事初戦突破を果たした。「みんな緊張していて固い試合になったけど、勝つことが大事だったので勝ててよかった」。そう振り返った真田は、故郷のチーム相手のプレーにも「球際、ボールを持つところで成長したところを見せられたと思う」と安堵の表情を浮かべた。

 もっとも、大会はここからが本番。特別な一戦を終えた真田は「チームとして全国優勝が目標。まだ初戦に勝っただけなのでまだまだだけど、一戦一戦大事にして勝っていけば上に行けると思う。スタンドからの応援もあって、東山チーム一丸になっているので、一戦必勝で頑張っていきたい」と気を引き締める。

 また大学進学を予定している真田にとっては、個人のアピールも大事な大会となる。「上に行けば行くほどスカウトの方々などいろんな人に見られると思うので、どんどん上がっていきたい」。チームメートのMF阪田澪哉(3年)は自らが中学時代を過ごしたC大阪に内定。「リスペクトしているし、大事なところでゴールを決めてくれる。スピードという明確な特長もある。阪田澪哉が注目されているけど、自分も負けじと、会場に見に来た人が『真田蓮司もすごいな』と思ってくれるようなプレーをしたい」と闘志を燃やした。

(取材・文 竹内達也)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2022

TOP