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[MOM4177]岡山学芸館MF山田蒼(3年)_ようやく果たした「10番の仕事」。攻撃型ボランチが圧巻の2ゴールで16強進出の立役者に!

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「10番の仕事」を果たす2ゴールを挙げた岡山学芸館高MF山田蒼

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ supported by sfida]
[12.31 選手権2回戦 鹿島学園高 2-3 岡山学芸館高 駒沢]

「『いつになったら10番の仕事をするんや』と冗談半分で話をしていたんですけど(笑)、今日は本当に大活躍してくれて、チームを助けてくれたと思いますね」。試合後に高原良明監督が笑顔でそう語る。この日のパフォーマンスは、まさに『10番の仕事』だったと言っていいだろう。

 チームを救う圧巻の2ゴール。岡山学芸館高(岡山)のナンバー10、MF山田蒼(3年=高槻ジーグFC出身)が全国の舞台で、その蓄えてきた実力を十二分に披露してみせた。

 まずは前半18分。左サイドでDF中尾誉(3年)からのスローインを受けると、そのままドリブル開始。いったんはマーカーに絡め取られそうになったボールを粘って残すと、ペナルティエリアの外から右足で蹴り込んだシュートが、左スミのゴールネットへ突き刺さる。

「ゴールが入っても実感がないというか、それよりもちょっと自分でもビックリした気持ちが勝ちました。試合前から迷わずシュートを打っていこうと思ったので、それが良かったかなと思います」。自身も驚くファインゴール。ボランチの位置からの積極的な攻撃参加で、チームに勢いを付ける先制弾を叩き出してみせる。

 再び10番が輝いたのは、2-2で迎えた最終盤の後半35分。ここも3列目から左サイドの高い位置まで侵入すると、一瞬でチームメイトとのイメージは共有される。中尾の縦パスを、MF田邉望(2年)がヒールで落とし、山田がインフロントで打ち切った軌道は、鮮やかにゴール右スミへ吸い込まれていく。

「インフロントキックの練習もずっとしてきたので、自信を持って打てました。もう完璧な流れだったと思います。良い感じに落としてくれたので、あとは決めるだけでした」という勝ち越しゴールのスコアラーに、笑顔のチームメイトが次々と飛び付いていく。「本当にウチらしいイメージ通りの中からの崩しのゴールができたかなと思います」と高原監督も納得の一撃は劇的な決勝弾。『10番の仕事』がチームに勝利を呼び込んだ。

 冒頭でも触れた指揮官の“口撃”は、本人も意識していたようだ。「昨日の食事の時に『いつ仕事するんだよ。10番ならもっとやってくれよ』みたいな感じで言われたので(笑)、それは自分でも意識していました」。

 その背番号が示すように、もともとは攻撃的なポジションの選手。全国8強まで勝ち進んだインターハイでは、サイドハーフやトップ下を務めており、3回戦の中京大中京高戦では1トップに入ってゴールまで奪っている。

「去年から攻撃の選手だったので、ボランチは今まで全然させてもらったことはなかったんですけど、今年の夏の和倉ユースでたまたま使ってもらって、そこでなんかうまく行って、手応えを感じて、それからずっとボランチです」。本人にとっても意外なコンバートだったが、高原監督の説明を聞くとその意図にも頷ける。

「本来はトップ下の選手としてずっと期待してきたんですけど、体つきも良くなって、守備のところも強度が高くなったので、1個後ろのところから守備で貢献してもらって、そのまま攻撃の時にはトップ下になるというイメージですね」。あえていうなら“2.5列目のプレーメイカー”的な起用法。スタッフ陣の信頼の高さが窺える。

 その想いを感じていたからこそ、ようやく果たせた『10番の仕事』に、本人も安堵の表情を浮かべる。「今日のゴールは監督やコーチ陣への恩返しというか、『やってやったぞ』という想いがありましたね。10番を着けさせてもらっているのに、なかなか結果で恩返しすることができていなかったので、感謝の気持ちがありました」。

 腰の痛みに悩まされた高校生活だった。「腰は高1の夏にケガしたんですけど、去年の選手権の県大会後にまた痛くなって、全国もその痛みがあって出れなくて、いざ新チームが始まっても2月の新人戦ぐらいの頃にまた再発してしまって、そこからまた4か月ぐらいプレーできなかったんです。ようやく夏に復帰したんですけど、なかなか身体が動かなくて迷惑を掛けて、全然自分としてはうまくプレーできない中で、夏を過ぎて徐々に調子を上げてきたので、この全国まで来ることができました」。

 だからこそ、サッカーができる喜びは人一倍感じている。ようやく万全に近い状態で迎えた高校最後の晴れ舞台。行けるところまで、やれるところまで、この仲間と一緒に、どこまでも。「チームとしてはベスト4を目指していますけど、学芸館の選手権はベスト16が最高成績で、次に勝てばまた新しい景色が見えると思うので、頑張っていきたいです」。

 感謝と決意を携えたナンバー10。岡山学芸館が期す国立競技場への進撃には、山田のさらなる“大仕事”が絶対に欠かせない。

★高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチを応援するsfidaは、第101回全国高校サッカー選手権大会のオフィシャルパートナーです。


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(取材・文 土屋雅史)

●【特設】高校選手権2022

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