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守備練習用のロングスローが日大藤沢に2点をもたらす。2年生SB片岡大慈が這い上がり、掴んだチャンスで結果

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日大藤沢高は、交代出場の2年生DF片岡大慈がロングスローで2得点を演出した。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.31 選手権2回戦 日大藤沢高 2-1 米子北高 等々力]

 守備トレーニング用に投げていたロングスローが、日大藤沢高(神奈川)に2点をもたらした。0-1の後半15分、日大藤沢は足を攣らせた右SBアッパ勇輝(3年)に代えてDF片岡大慈(2年)を投入する。

 前日のトレーニングで好調な動きを見せていた2年生DFを佐藤輝勝監督が抜擢。その片岡は後半23分、右サイドからロングスローを投げ込む。FW有竹翔吾(3年)が競り勝ってこぼれたボールをMF野澤勇飛(3年)が押し込み、1-1となった。

 さらに30分、片岡は「(1点入った)流れでもう一回投げようと」今度は左サイドからロングスロー。これが相手DFのオウンゴールを誘う。これまで試合では1、2回しか投げていないというロングスローが、2ゴールに結びついた。

 日大藤沢は攻撃のロングスロー練習を行っていない。だが、選手権で西原高(沖縄)、米子北高(鳥取)とロングスローを持つチームと対戦。その守備対策としてトレーニングでロングスローを投げていたのが、片岡だった。

 レギュラー組のためのトレーニングだったが、彼はそれを真剣に投げ続けた。本人が個人練習をしていたこともあって飛距離は向上。佐藤監督は「こんな弾道で投げれるんだというのはありがたいですね。『オレは相手役だな』ということでなくて、相手のことをやっていても(全力で続けていれば、真剣勝負の場で)出るんですよ」。片岡は県予選で出番がなく、今大会初戦はベンチ外。だが、入念に選手の状態を見極めて起用する日大藤沢において、トレーニングで自分を表現してきたDFはこの日ベンチ入りのチャンスを得た。

 本人は米子北相手にそのヘディングや対人の強さ、クロスの質が活きると考えていた。活躍の仕方は違ったかもしれないが、努力で這い上がり、成し遂げた活躍だった。

 日大藤沢は右SB植田海音(3年)が関東大会で大怪我。片岡は続くインターハイ予選で先発のチャンスを掴んでいた。だが、「圧倒的な部分が足りない。左SBの尾野(優日)だったら絶対に縦へ行ってクロスを上げるとか、アッパ(勇輝)だったらSBでもシュートブロックとか対人負けないとか武器があると思う。自分もあったんですけれども、それを磨き切れていないというか足りていない。結局ポジションを奪われてしまった」と振り返る。

 それでも、「自分は這い上がるというのはずっとやってきたので、後は追い越すだけだなと。他人と比較しても意味がないと思ったので、自分の足りないところ、例えば守備で抜かれたりする場面もあったので見直して。自主練でドリブル上手いやつ見つけてずっと何十本もやろうと。自分、負けず嫌いなので自主練から自分の弱点とかを磨こうとやってきました。今は自信があります。(今日の結果は)マジで嬉しいんですけれども、自分としてはロングスローよりもクロスだったりSBで点を取れることを証明したい」。ロングスローがクローズアップされる結果となったが、片岡は自分の力がこの舞台でも発揮できるという自信を持っている。トレーニングでまたアピールし、次はクロスなど得点に絡んで再び勝利に貢献する。

(取材・文 吉田太郎)
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