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「徳島を思い出せよ!」。集中力切らさなかった日大藤沢、“二刀流”森重もCBで高さ発揮して1点リード死守

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日大藤沢高は後半CBを務めた森重陽介(3年、清水内定)の198cmの高さも活かしてリードを守り抜いた。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[12.31 選手権2回戦 日大藤沢高 2-1 米子北高 等々力]

「チーム内でも終盤には『徳島を思い出せよ!』という声がたくさん出ているので、そういう面で精神的にも強くなりました。(今日も終盤は)みんな、ずっと言っていました」。日大藤沢高(神奈川)MF野澤勇飛(3年)は我慢の時間帯だった試合終盤について振り返る。

 米子北高(鳥取)は1点を追う終盤、179cmのFW森田尚人(2年)や183cmのFW山田颯元(3年)を投入。この日先制ヘッドを決めているCB森川和軌(3年)のポジションを上げて日大藤沢ゴールをこじ開けに来ていた。

 だが、日大藤沢は「徳島を思い出せよ!」という言葉を掛け合いながら、タフにゴールを死守。後半10分にFWからCBへポジションを下げていた“二刀流”森重陽介(3年、清水内定)の198cmの高さも大いに活きていた。

 相手のロングボールやクロスをGK岡本亜鶴(3年)やCB宮崎達也(2年)らと跳ね返して2-1で勝利。森重は「米子北が蹴ってくるので、そこをしっかり跳ね返してあげることと、声を出して勝てる雰囲気を心がけました」と振り返った。

“徳島の悪夢”の反省が活きた。日大藤沢は今年のインターハイ(徳島)に準優勝した17年以来となる出場。全国制覇を掲げて臨んだ大会の初戦(対丸岡高)は、森重のPKで先制したものの、試合終了5分前からの2失点によって逆転負けしている。この日は相手のヘッドがポストを叩くシーンもあったが、各選手が最後まで集中力の高い動き。ゴール前でのこぼれ球にも素早く反応し続けて2点目を許さなかった。

 日大藤沢は攻撃面でも徳島で学んだことを実践している。夏は森重へのロングボール頼みになってしまい、自分たちが取り組んできたグラウンダーの攻撃で剥がす、崩しに行くことが欠けていた。この日は米子北の強烈なプレスを浴びながらも逃げずに、可能な限りチャレンジ。あの敗戦を忘れずに戦って掴んだ3回戦への切符だった。

 この日は右サイドで相手を苦しめていたFW岡西亜憐(3年)や野澤ら先発組に加え、DF片岡大慈(2年)やFW有竹翔吾(3年)、FW吉田亘之介(3年)といった交代出場組も勝利に貢献。選手層の厚さもチームの強みだ。

 野澤は「サブの選手もみんな特長を持っている。サブの選手が点を決めて神奈川県予選を突破してきたので信頼できます」と語り、佐藤輝勝監督は「30人、みんな戦力です。本当に。次も誰が出るか期待して下さい」。貴重な夏の経験や競争で得た力を強みに、次は8強入りに挑戦する。

(取材・文 吉田太郎)
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