[12.31 選手権2回戦 成立学園 0-1 日本文理 浦和駒場]

　この試合で誰よりも積極的に仕掛け続けた。成立学園高MF渡辺弦(3年)は得意のドリブルで日本文理高のゴールを脅かす。だが、決定機を結実させることはできなかった。「そういうところを決め切れないと、こういう結果につながってしまう」と悔しさをにじませた。

　序盤から日本文理のハードワークに遭った成立学園は、得意のパスワークでなかなか前にボールを運べない。局面を打開するには個人技による突破。左サイドの渡辺は前半17分、縦への鋭い突破で敵陣に入り込み、CKを獲得する。同20分には右サイドからパスがわたり、ボールを収めた渡辺がカットインから右足シュートを打つが、GKにセーブされた。

　日本文理に狙われていた。「試合中に相手選手と話したんですけど、完全に(渡辺の)対策をしていたと」。突破力を見込まれた上で抑止されたわけだが「対策をされても読まれてても、抜ける選手になりたいと言っていた。何度か抜けたシーンもあった」。だが、決め切る力は足りなかった。「最後のところは自分の甘さが出た。もう少しインステップで強いシュートが蹴れていれば、ゴールが決まっていたのかなと」。

　単騎でもチャンスを作れるドリブルは、日本代表MF三笘薫を参考にした。「緩急の使い方がうまいのでお手本にしながらプレー集は見ていた。この高校サッカーでも出せれた」。卒業後は大学でサッカーを続ける。「高校サッカーは小さいころから見ていた舞台。当時は自分が出場できるとは思っていなかった。本当にいい経験ができた」。ひとつの区切りをつけ、晴れやかな笑顔で会場を去った。

(取材・文　石川祐介)

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