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前育相手にスーパーセーブ連発…166cmの香川西GK三谷虎大朗「小さくてもやれると少しは示せた」卒業後は競艇の道へ

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GK三谷虎大朗(3年=FCコーマラント)

[12.31 選手権2回戦 前橋育英高 6-1 四国学院大香川西高 NACK]

 試合登録20人の中でも最も小さい166cm。四国学院大香川西高が誇る異色のゴールキーパーの高校サッカー生活が幕を閉じた。GK三谷虎大朗(3年=FCコーマラント)は「サッカーしている中でも身長が小さいほうで、難しいと感じることもあったけど、選手権に最後に出ることができて、他の小さい選手や小さいGKにも、小さくてもやれるということを少しは示せたんじゃないかと思う」と胸を張った。

 大会初戦で羽黒高に3-2で競り勝った香川西だったが、2回戦でインターハイ王者の前橋育英高に大量6失点の完敗。試合後、ピッチを周りながら「上には上がいるな!」と大声で悔しさを露わにした守護神は責任を背負っていた。

「前半立ち上がりから相手の様子を見て全然やれるなという印象だったけど、結果的に6失点してしまった。僕がもっと良かったら結果は変わっていたと思う。チームのみんなや出ていない人、僕を使ってくれた監督・コーチには申し訳ない」

 もっとも、試合を通じて前橋育英が放ったシュートは合計22本。そのうち多くはゴール前を深く崩してのもので、三谷は何度も至近距離からのボールを止めていた。小さな身体で積み上げてきた「身体を張るところ、最後に逃げないところ、1対1のところ」という武器はいかんなく発揮されており、三谷は「毎日の練習から安井GKコーチと一緒に至近距離の練習やセービングをしてきたので、そこが試合に出たと思う」と安井貴昭コーチへの感謝を口にした。

 131人の部員を擁する香川西において、GKのレギュラー争いは熾烈。それでも昨季からトップチームで出番を得ていた三谷には大きな覚悟があった。「サッカー選手には小さい選手が多いと思うけど、そこで大きい選手が選ばれることも多い。高校になった頃からの目標で、自分が選手権に出て、小さくてもやれることを絶対に示したいと思っていた」。昨季は選手権の出番を譲ったが、最高学年で見事に有言実行。「やれたことはあるので、そこは胸を張って帰りたい」と努力の跡を噛み締めた。

 そんな三谷だが、サッカー生活は高校限りで終わり。卒業後はボートレーサーとしての挑戦をスタートさせるという。

 香川県丸亀市で育った18歳にとって、まるがめボートレース場で活躍していた選手たちは「小さい頃からの憧れ」の存在。166cm/55kgの体格はサッカー界でこそ乗り越えるべきウィークポイントと見做されがちだが、ボートレース界では理想的な素質となる。

「次はこの身長が強みになるので、サッカーでやってきたことを活かしつつ、次のステージでもっと光りたい」。ハンデを埋めて余りある努力を積み重ねてきた小さな守護神が、新たな憧れの舞台で輝きを放つ。

(取材・文 竹内達也)
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