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昌平を飲み込んだプレスの波…切り替えの早さで圧倒した前橋育英、優勝候補同士の一戦を逆転で制す!!

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前橋育英高昌平高から逆転勝利を収めた(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.2 全国高校選手権3回戦 昌平高 1-2 前橋育英高 駒場]

 第101回全国高校サッカー選手権3回戦が2日に行なわれ、浦和駒場スタジアムの第1試合では2年ぶり5回目の出場となる昌平高(埼玉)と2年連続25回目の出場となる前橋育英高(群馬)が対戦。前半3分に昌平が先制するも、同13分と後半10分に得点した前橋育英が2-1の逆転勝利を収めた。

 関東の強豪校同士、優勝候補同士の一戦にスタジアムには1万5372人もの観衆が詰めかけた。注目の一戦は、いきなり動く。MF土谷飛雅(2年)が自陣から相手最終ライン裏を狙ったボールでFW上野旭陽(3年)が抜け出す。シュートはPA外まで飛び出して距離を詰めたGK雨野颯真(2年)に阻まれたものの、こぼれ球に反応したMF荒井悠汰(3年/FC東京内定)が左足から放ったロングシュートを無人のゴールに流し込み、昌平が先制に成功した。

 試合開始直後の先制パンチ。しかし、「開始早々だったので、まだまだ大丈夫だと、我々もそうだし、選手たちも思った」と山田耕介監督が振り返ったように、夏の総体王者・前橋育英は焦らない。

 そして、その後、主導権を握って試合を進めたのが前橋育英だ。指揮官が「ポイントは攻守の切り替え」と語ったように、切り替えの早さで上回る。前橋育英がボールを保持する展開となる中、昌平にボールを奪われても、素早い攻守の切り替えを行う。すぐさま、複数の選手で昌平のボールホルダーを囲い込み、ボールを回収して再び攻撃へとつなげた。

 前半13分、MF小池直矢(3年)とのワンツーによってフリーでPA内に侵入したFW山本颯太(3年)が左足で蹴り込み、試合を振り出しに戻すと、その後も昌平を圧倒。敵将の藤島崇之監督も「前橋育英さんのプレスの早さとか、局面の粘り強さというところが非常に素晴らしかった。我々に足りないものを全部見せて頂いた」と脱帽したほどだった。

 前半32分にはセットプレーから好機を生み出す。MF根津元輝(3年)が蹴り出したCKをDF山内恭輔(3年)が折り返し、反応したMF青柳龍次郎(3年)がヘディングで狙うも、シュートは好反応を見せたGK上林真斗(3年)に弾き出されてしまう。

 しかし、1-1のまま迎えた後半11分、鮮やかな連係から前橋育英が勝ち越しゴールを奪取。MF徳永涼(3年)のサイドチェンジをDF井上駿也真(3年)が鮮やかなワンタッチで右サイド前方に送ると、走り込んだ小池がダイレクトで中央へ。ゴール前で巧みにマーカーを外した青柳が右足で蹴り込んだ。

 1点のビハインドを背負った昌平は後半23分にビッグチャンスを迎えるが、荒井のパスからフリーでPA内に走り込んだFW小田晄平(2年)のループ気味のシュートはゴール左に外れてしまう。その後は、「前半と後半の途中までは上回っていたけど、3試合目と2試合目の差で最後の10分、15分はきつかった」(山田監督)という前橋育英のプレスの波をかいくぐり、ゴールに迫ろうとしたが、最後まで昌平に同点ゴールは生まれなかった。

 優勝候補同士の一戦を2-1の逆転勝利で制した前橋育英はベスト8へ。“夏冬連覇”の偉業へ、あと3つに迫った。

(取材・文 折戸岳彦)
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