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届かなかった数cm…國學院久我山の194cmGK石崎大登は再び悔しさをバネに、大学での全国制覇を誓う

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國學院久我山高の194cmGK石崎大登は届かなかった数cmにこだわってトレーニングし、次のステージで夢を叶える。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.2 選手権3回戦 岡山学芸館高 0-0(PK5-3)國學院久我山高 駒沢]
 
 届かなかった数cm、敗戦の悔しさを力に変える。國學院久我山高(東京A)の194cmGK石崎大登(3年)はPK戦での敗退後、「ここまで攻撃陣がどんなに辛い時でも、負けていても諦めずに点を取って来てくれて、僕たちを救ってきてくれたので。『今度は僕の番だ』と思ってそういう意気込みで臨んだんですけれども、止められなくて、部員全員に申し訳ないです」と唇を噛んだ。

 東京都予選から毎試合3得点以上を挙げてきた攻撃陣がこの日は無得点。攻める時間は長かったものの、ゴールを破ることができなかった。DF陣は立ち上がりに失点した近大和歌山高(和歌山)戦の反省もあり、いつも以上に試合の入りから集中。相手のカウンターやセットプレーに対応して無失点で80分間を終えた。

 迎えたPK戦。石崎は小学生でGKを初めてからPK戦で一度も負けたことがなかったのだという。練習でも止めており、自信を持ってゴールマウスへ向かった。1本目、2本目とコースを当てていたが、「あと何cmかで届かなくて……」。その一方、國學院久我山は1人目のエースFW塩貝健人(3年)が止められていた。

 塩貝は東京都予選4試合で8得点のエース。「ここまでチームを引っ張ってくれた塩貝が外したのもあって、僕しかチームを救えないとPK戦に臨んだんですけれども……」。石崎は「1本止めてくれたら流れ変わるから頼むよ」という言葉をチームメートから掛けられていた。守護神は仲間たちのためにまず一本を止めようとしたが、それは叶わず。5人目のシュートコースを読みながらも決められると、ゴールエリアで泣き崩れた。

 石崎にとっては、悔しさをバネにして勝ち取った大舞台だった。1年前の選手権予選決勝は、大学受験の注目GK村田新直(現早稲田大)に代わって先発出場。受験を終えて会場に到着した村田に後半からバトンタッチしたが、その時スコアは0-3になっていた。

「前半3失点して僕のせいで(3年生は)引退になってしまった。ずっと失点シーンとかスマホに保存していて、毎日見ていて、(今年度の決勝の会場も)駒沢だったのでこの悔しさを『絶対に駒沢で晴らす』と1年間ずっとやってきた」。そして、今回の予選は駒沢陸上競技場のピッチで優勝に貢献。最後の年に全国のピッチに立ち、楽しみながらプレーすることができた。

 敗戦後、石崎はうずくまる塩貝に対して「止めれなくてごめん。ここまで連れて来てくれてありがとう」と言葉を掛けたという。そして後輩GKに選手権制覇を託した守護神は、再び全国制覇を目指すことを誓った。

「この悔しさをバネに、僕たちの高校サッカーの目標であった全国制覇を目指して、大学で全国制覇したい。僕の小さい頃からサッカー選手になるという夢があるので、今日PK戦で止められなかったので、細かいところの技術の向上とかをしていきたい」。この日の試合会場も駒沢陸上競技場。届かなかった数cm、敗戦の悔しさを忘れずに努力を重ね、必ず夢を実現する。

(取材・文 吉田太郎)
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