[1.4 選手権準々決勝 青森山田 1-2 神村学園 等々力]

　神村学園高で1年生ながら10番を任されているスーパールーキーが、勇敢かつ精密なミドルパスで決勝点をもたらした。

　今大会ではスーパーサブ起用が続くFW名和田我空(1年=神村学園中)は青森山田高との準々決勝で、後半開始からの投入。すると1-1で迎えた同20分、カウンターの流れから中央やや左に顔を出し、戻りながら対応する相手守備陣に向かって勝負を仕掛けた。

「あそこは自分で行こうか左か右か迷ったけど、自分の前には選手がたくさんいたので」。左の大外にDF吉永夢希(2年)も走っており、そこからでもチャンスにはつながっただろうが、あえて右のFW西丸道人(2年)への斜めの展開を選択。相手の間隙をぬうグラウンダーパスをバシッと通すと、これで一気に攻撃が加速し、西丸のシュートのこぼれ球からFW福田師王(3年)が勝ち越しゴールを沈めた。

　それでも試合後、背番号10は「そういうところで違いを見せていかないとこれから生き残っていけないと思う。あのくらいはしないと」と淡々と振り返りつつ、自身のパフォーマンスに厳しい自己評価を下した。

「2回戦、3回戦と何もやっていなくて、この試合で結果を残そうと思っていた中で、チームとしては勝ったけど個人としては何もやっていないなと」。3回戦の日大藤沢高戦では終了間際にチャンスが訪れたが、決定的なシュートはGKがビッグセーブ。PK戦では5人目キッカーの大役を務め上げ、準々決勝進出に貢献していたものの、そこで満足する気はないようだ。

　そうした向上心がテクニックだけでなく、青森山田高にも引けを取らなかった球際など、さまざまな要素の成長につながっている。「球際とか守備はチームでも弱いと言われているけど、試合後に栢野コーチ(監督代行)から『球際も強くなっている』と言われたので、もっと磨いてウィークポイントをストロングポイントに変えられるように頑張っていきたい」。

　またすでに持っているストロングポイントは今大会で結果に結びつけていくつもりだ。「自分がチームに一番感謝している。1年生で国立の舞台に連れて行ってもらったので、次は自分がチームを勝たせる気持ちで頑張りたい」。1年生で聖地のピッチに立てるという願ってもないチャンス。「必ず数字を残せるように頑張りたい」と力を込めた。

(取材・文　竹内達也)

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