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来季は“三刀流”? 、大津の186cmDF碇明日麻はCB専念で国立切符

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大津高のU-17日本代表CB碇明日麻。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.4 選手権準々決勝 前橋育英高 0-0(PK4-5)大津高 駒場]

 “育成の大津”で成長中の新たな大器、U-17日本代表CB碇明日麻(2年)が国立切符を勝ち取った。大津高(熊本)は4強切符をかけた準々決勝でインターハイ王者の前橋育英高(群馬)と対戦。前半30分ごろからボールを支配される時間帯が増え、相手FW山本颯太(3年)に幾度もボールを収められた。

 前橋育英はFW高足善(3年)も鋭い動きを連発。DF間を取って個人、グループで崩しに来る攻撃に大津は苦戦した。それでも、碇は「ライン間で間を空けないことと、最後のシュートブロック。とにかく寄せてフリーでシュートを打たせないことを意識しました」。こぼれ球からシュートを放たれるシーンもあったが、そのコースを塞ぐなど枠に決定打を飛ばさなかった。

 大津は0-0で突入したPK戦の末、5-4で勝利。山城朋大監督は、「(各キッカーが)本当に勇気を持って自分の信じたコースに蹴り込んでくれたので良かったと思います」と語っていたが、3人目に登場した碇は右足シュートを左上へ思い切り突き刺した。

 碇の武器はキックだ。加えて、万能性の持ち主でもある。1年時のインターハイはFW登録。長短の高精度キックで展開を変えることができ、守備で高さを発揮できる碇はU-17日本高校選抜やU-17日本代表にボランチとして選出されている。今年度もシーズン当初は中盤でプレー。CB野田翔升(3年)の負傷離脱に伴い、国体選抜で経験のあったCBへポジションを下げた。

 大津には中盤出身でその後CBとして活躍しているDF谷口彰悟やDF車屋紳太郎というOBがいる。ベルギー、フランスでプレーしたCB植田直通も大津出身。碇は彼らのプレーを参考にしているという。その上で強みのキックを出すことを意識し、グラウンダーの縦パスやロングキックなどを試合で表現。守備面でもゴール前に入って来るボールを左右両足で確実にクリアできるのは、チームにとっても大きい。

 大津の選手層の厚さは全国トップクラス。MF田原瑠衣(3年)、MF岩崎大翔(3年)、MF中馬颯太(3年)といったタイプの異なるアタッカーたちとレーニングを重ねることで守備力を高めた。まだ寄せが遅れてしまう部分など課題もあるが、「体つきを良くして、もっとボールを奪えるCBになってもっと上を目指していきたい」と目標を持って成長中。大型プレーヤーが育つ土壌のある大津でどのような進化を遂げるか楽しみだ。

 新チームでは攻撃的なポジションで起用される可能性もある。今回の選手権は日大藤沢高(神奈川)の198cmFW森重陽介(3年、清水内定)がFWとCBの2つのポジションで活躍。“二刀流プレーヤー”として注目を集めた。「(来年は)森重選手を超えて三刀流で(微笑)」と碇。今回の選手権の経験も将来の飛躍に繋げる。

 次戦は国立競技場での準決勝。「去年決勝まで行っているんですけれども、個人として決勝のピッチに立つことができていないので、悔しさというのをぶつけて思う存分、思い切りプレーしていきたい」。目標は高卒でのプロ入り。技術力、スピード、跳躍力も兼ね備えた大器は、その可能性を少しでも広げて大会を終える。
 
(取材・文 吉田太郎)
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