ピッチを走り続ける魂のキャプテン。日体大柏FW吉田眞翔が燃やした後輩たちに受け継がれる情熱の火種
[1.4 全国高校選手権準々決勝 東山高 0-0(PK4-3) 日体柏高 駒場]
悔しかったけど、嬉しかった。この学校に入ってきた時から、みんなで目指してきたこの大舞台に立つことができて、3回も勝つことだってできた。それはもっと先までこの仲間と一緒に進みたかったけど、高校生活の最後にこんな経験を味わえたのだ。やっぱり、選手権って最高だ。
「こんなに凄い観客がいる中でプレーする経験は初めてだったので、最初の方は多少緊張がありましたけど、これだけの声援がある中でプレーできることが凄く楽しかったですし、このチームでできたことを心から誇りに思いますね。小さい頃から夢見ていた選手権の舞台で、こうやってプレーできたことは嬉しかったです」
初出場で全国8強まで勝ち上がった日体大柏高(千葉)を束ねてきた魂のキャプテン。FW吉田眞翔(3年=1FC川越水上公園出身)が過ごした高校生活最後の冬は、最高の思い出とともに幕を閉じた。
「この1年間、自分は貪欲にサッカーすることが持ち味だと思ってやってきました。キャプテンに選ばれた時に、自分はあまり言葉でまとめるようなタイプではないので、チームをプレーで引っ張っていきたいという想いは人一倍あって、強い気持ちを持って戦ってきました」。
国立競技場のピッチを懸けて戦う準々決勝の東山高(京都)戦でも、吉田はとにかくエネルギッシュにピッチを駆け回る。果敢にドリブルで仕掛け、したたかに相手ディフェンスの裏を狙い、守備でも前線からプレスに奔走する。
決定的なチャンスもあった。前半34分。左サイドで前を向くと、一切スピードを緩めずにカットインしながらマーカーをぶっちぎり、そのままフィニッシュ。ここは相手GKのファインセーブに阻まれたが、その思い切りの良いプレーに応援席のボルテージも一段階上がる。後半30分。2トップを組んできたFWオウイエ・ウイリアム(3年)の落としを受け、鋭い切り返しから放ったシュートはGKの正面に。押し気味にゲームは進めるものの、ゴールは奪えない。
勝敗はPK戦で決着が付いた。「みんなに『楽しもう』という声は掛けましたし、自分自身は足が持たなくて、PKを蹴ることができなかったので、そこは悔しい想いをしましたけど、自信があるヤツが手を挙げて蹴ったので、そこは蹴ったヤツらを褒めたいなと思います」。青いユニフォームの選手たちがピッチに崩れ落ちる。日体大柏の進撃は、全国4強を目前にしてストップすることとなった。
バックスタンドから送られ続けた大声援は、ずっと吉田の耳に届いていた。「この大会は声出し応援がある中で、選手たちを支えてくれたのはあの声援だったと思いますし、観客の皆さんの期待にもっと応えられたらなという想いはありましたけど、あの声援のおかげで悔いなくプレーはできたので、そこは感謝したいです」。
とりわけ嬉しかったのは、高校のクラスメイトでもある柏レイソルU-18の選手たちも応援席のスタンドに詰め掛けてくれたことだ。「同じクラスで、ともに学校生活を送る中で、サッカーのことも話しますし、時にはプライベートでも遊びますし、凄く仲の良い関係なんです。クラスメイトでもありますし、良きライバルでもあるので、そんな彼らが応援してくれることは凄く僕らの助けになっていましたし、何より友達として応援してくれること自体が嬉しいので、そこはベスト8という結果にも繋がったのかなと思いますね」。この晴れ舞台に立ったからこそ、多くの人が自分たちを支えてきてくれたことを、今まで以上に実感することができた。
この学校でサッカーと向き合う中で出会えた人々が、常に自分たちの成長を助けてくれた。「根引(謙介)監督には1年生から凄くお世話になっていて、信頼する監督の元で良い結果を残したいという想いはありましたし、菅沼実コーチにフォワード陣は凄く成長させてもらえました。それに自分は亡くなってしまった工藤(壮人)さんにも凄くお世話になったので、そういう方々に恩返ししたい、そういう方々のために頑張りたいという想いは、自分を含めて選手一同ありました」。3年間で積み重ねた時間は、かけがえのない宝物だ。
「『歴史を塗り替えてやろう』という想いは僕もそうですけど、選手みんなにあったと思うので、実際に全国ベスト8という大きな結果を残せたことは良かったですし、後輩たちがそれを塗り替えてほしいなという想いがありますね」。キャプテンらしく後輩たちに想いを託し、自身は次のステージへのチャレンジへと前を向く。
「まだもうちょっとやりたかった想いはありますけど、夢だった選手権の舞台に立てたことは嬉しかったですし、楽しかったですね。この大きな舞台でサッカーができたことは大きな経験になったので、それを次のステージでも生かしていきたいですし、高卒でプロになれなかったので、大学に行って、そこでプロサッカー選手になるための準備をしっかりしたいと思います」。
新しい歴史の扉を何度もこじ開けてみせた、2022年度の日体大柏が誇る不動のキャプテン。吉田が燃やし続けた熱い情熱の火種は、きっと彼らに憧れてこの学校の門を叩く後輩たちにも、脈々と受け継がれていくに違いない。
(取材・文 土屋雅史)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2022
悔しかったけど、嬉しかった。この学校に入ってきた時から、みんなで目指してきたこの大舞台に立つことができて、3回も勝つことだってできた。それはもっと先までこの仲間と一緒に進みたかったけど、高校生活の最後にこんな経験を味わえたのだ。やっぱり、選手権って最高だ。
「こんなに凄い観客がいる中でプレーする経験は初めてだったので、最初の方は多少緊張がありましたけど、これだけの声援がある中でプレーできることが凄く楽しかったですし、このチームでできたことを心から誇りに思いますね。小さい頃から夢見ていた選手権の舞台で、こうやってプレーできたことは嬉しかったです」
初出場で全国8強まで勝ち上がった日体大柏高(千葉)を束ねてきた魂のキャプテン。FW吉田眞翔(3年=1FC川越水上公園出身)が過ごした高校生活最後の冬は、最高の思い出とともに幕を閉じた。
「この1年間、自分は貪欲にサッカーすることが持ち味だと思ってやってきました。キャプテンに選ばれた時に、自分はあまり言葉でまとめるようなタイプではないので、チームをプレーで引っ張っていきたいという想いは人一倍あって、強い気持ちを持って戦ってきました」。
国立競技場のピッチを懸けて戦う準々決勝の東山高(京都)戦でも、吉田はとにかくエネルギッシュにピッチを駆け回る。果敢にドリブルで仕掛け、したたかに相手ディフェンスの裏を狙い、守備でも前線からプレスに奔走する。
決定的なチャンスもあった。前半34分。左サイドで前を向くと、一切スピードを緩めずにカットインしながらマーカーをぶっちぎり、そのままフィニッシュ。ここは相手GKのファインセーブに阻まれたが、その思い切りの良いプレーに応援席のボルテージも一段階上がる。後半30分。2トップを組んできたFWオウイエ・ウイリアム(3年)の落としを受け、鋭い切り返しから放ったシュートはGKの正面に。押し気味にゲームは進めるものの、ゴールは奪えない。
勝敗はPK戦で決着が付いた。「みんなに『楽しもう』という声は掛けましたし、自分自身は足が持たなくて、PKを蹴ることができなかったので、そこは悔しい想いをしましたけど、自信があるヤツが手を挙げて蹴ったので、そこは蹴ったヤツらを褒めたいなと思います」。青いユニフォームの選手たちがピッチに崩れ落ちる。日体大柏の進撃は、全国4強を目前にしてストップすることとなった。
バックスタンドから送られ続けた大声援は、ずっと吉田の耳に届いていた。「この大会は声出し応援がある中で、選手たちを支えてくれたのはあの声援だったと思いますし、観客の皆さんの期待にもっと応えられたらなという想いはありましたけど、あの声援のおかげで悔いなくプレーはできたので、そこは感謝したいです」。
とりわけ嬉しかったのは、高校のクラスメイトでもある柏レイソルU-18の選手たちも応援席のスタンドに詰め掛けてくれたことだ。「同じクラスで、ともに学校生活を送る中で、サッカーのことも話しますし、時にはプライベートでも遊びますし、凄く仲の良い関係なんです。クラスメイトでもありますし、良きライバルでもあるので、そんな彼らが応援してくれることは凄く僕らの助けになっていましたし、何より友達として応援してくれること自体が嬉しいので、そこはベスト8という結果にも繋がったのかなと思いますね」。この晴れ舞台に立ったからこそ、多くの人が自分たちを支えてきてくれたことを、今まで以上に実感することができた。
この学校でサッカーと向き合う中で出会えた人々が、常に自分たちの成長を助けてくれた。「根引(謙介)監督には1年生から凄くお世話になっていて、信頼する監督の元で良い結果を残したいという想いはありましたし、菅沼実コーチにフォワード陣は凄く成長させてもらえました。それに自分は亡くなってしまった工藤(壮人)さんにも凄くお世話になったので、そういう方々に恩返ししたい、そういう方々のために頑張りたいという想いは、自分を含めて選手一同ありました」。3年間で積み重ねた時間は、かけがえのない宝物だ。
「『歴史を塗り替えてやろう』という想いは僕もそうですけど、選手みんなにあったと思うので、実際に全国ベスト8という大きな結果を残せたことは良かったですし、後輩たちがそれを塗り替えてほしいなという想いがありますね」。キャプテンらしく後輩たちに想いを託し、自身は次のステージへのチャレンジへと前を向く。
「まだもうちょっとやりたかった想いはありますけど、夢だった選手権の舞台に立てたことは嬉しかったですし、楽しかったですね。この大きな舞台でサッカーができたことは大きな経験になったので、それを次のステージでも生かしていきたいですし、高卒でプロになれなかったので、大学に行って、そこでプロサッカー選手になるための準備をしっかりしたいと思います」。
新しい歴史の扉を何度もこじ開けてみせた、2022年度の日体大柏が誇る不動のキャプテン。吉田が燃やし続けた熱い情熱の火種は、きっと彼らに憧れてこの学校の門を叩く後輩たちにも、脈々と受け継がれていくに違いない。
(取材・文 土屋雅史)
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