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「今は左の方がしっくり来る」岡山学芸館は2年生MF田口裕真が利き足と逆の左足で2戦連続の先制弾

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岡山学芸館は前半6分にMF田口裕真(2年)が2試合連続の先制点(写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.7 選手権準決勝 神村学園 3-3(PK1-4)岡山学芸館 国立]

 利き足ではない左足で2試合連続の先制ゴールを決めた。岡山学芸館高(岡山)は試合開始早々の前半6分、左サイドを抜け出したMF岡本温叶(3年)のクロスにMF田口裕真(2年)が飛び込み、左足を振る。これは当たり損ねとなったが、自分の目の前にこぼれたボールをもう一度左足で蹴り込んだ。

「ファーストタッチはキックミスです」。そう苦笑いした田口裕は「ファーストタッチで打とうと思ったけど、いい感じで前にこぼれてきたので、流し込むだけだった。“決まっちゃったな”と自分でも驚いた」と、運も味方にする先制点だった。

 準々決勝の佐野日大戦(○4-0)でもゴールラッシュの口火を切る先制点。今大会の初ゴールだったが、その得点もFW今井拓人(3年)が頭で落としたボールを左足のダイレクトボレーで叩いた形だった。利き足は右足だが、「練習の中で左足でシュートを打つことが多くて、今は左の方がしっくり来る」というまでに左足の精度も上がってきた。

 172cmのアタッカーは「人を魅了する選手が好き」と、ブラジル代表FWネイマール(パリSG)のドリブルを参考にしている。トップ下のポジションで「相手の嫌なところに顔を出して脅威になれれば」と、スペースを突いたり、狭い局面でも相手をはがしたりするプレーが持ち味だが、「1年のときはドリブルがうまいだけで、点を決めないと試合に出られない」と課題とも向き合ってきた。

 その結果が「もともとシュートは下手だったけど、シュートの意識はずっと持ってきた。ラッキーもあったけど、シュート練習をしてきたおかげで今があると思う」と、準々決勝、準決勝という大舞台での連続ゴールにつながった。

 2年生ながらチームのトップ下を任され、初のベスト4、そして初の決勝進出に貢献。岡山県勢としても06年度に準優勝した作陽以来、16年ぶりとなった。9日の決勝では東山(京都)と互いに初優勝を懸けて激突。田口裕は「去年から先輩にお世話になってきた。決勝でも点を決めて恩返ししたい」と、自身の3戦連発ゴールで岡山学芸館、そして岡山県に初の栄冠をもたらす決意だ。

(取材・文 西山紘平)

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