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東山MF松橋啓太が“冷静沈着”同点ゴール!「自分でもビックリ」強烈ロングスローなど持ち味多彩

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東山高MF松橋啓太(3年)

[1.7 選手権準決勝 東山 1-1(PK4-2)大津 国立]

 堅実さが光る東山高の大型ボランチは、エリア内でも落ち着いていた。0-1で迎えた後半17分、DF仲里勇真(3年)の右CKが相手に当たってゴール前に落ちると、これに反応したのはMF松橋啓太(3年=G大阪門真Jrユース)。浮き球を見事なトラップで収めて右足を振り抜き、起死回生の同点ゴールを奪った。

 ワントラップ目で打つ選択肢もあったが、あえて持ち出す冷静な判断が光った。「ワンタッチでシュートを打とうと思ったけど、少し浮いていて難しいボールだったので1回トラップしてみたら前が空いていた。あとは気持ちと、自分を信じてシュートを打った」。判断も的確なら、技術も正確。細かいスペースの中でもふかすことなく、完璧にゴールマウスを捉えた。

 今大会ではボランチの相方を担うMF真田蓮司(3年=C大阪U-15)が3回戦、準々決勝と2試合連発。攻守を分業するような役割のため仕方ない部分もあったが、松橋の中には「蓮司が2点決めていて、僕は何の結果も残せていなくて悔しい思いはあった」という。

 そのため、この同点ゴールはそんな悔しさも晴らす一撃となった。松橋は「1点でもという気持ちはあったので決められてよかった」とホッとした様子で振り返った。

 G大阪門真Jrユース時代は十分な出場機会がなく、決意を持って進んだ高校サッカーの舞台。「僕は中学校の時に全然試合に出られていなくて、東山に来てから中学の時とは全てにおいて変わった。東山に来て成長できたので東山に来てよかった」。その成長の陰にはやはり真田の存在があった。

「ボランチをするということになってから蓮司を目標にしてやってきた。蓮司の存在が成長につながっている」

 切磋琢磨しながら鍛えてきた基礎技術の向上により、2年生だった昨年から共にダブルボランチでレギュラーの座に君臨。いまでは「何も声を出さなくても蓮司の位置はわかる。2人で日本一のボランチになるということに関しては強い気持ちがある」と自信を持って言えるほどになった。

 その他にも、高校2年生からの挑戦で「こんなに飛ぶんやって自分でもビックリした」という素質が見出されたロングスローや、「僕の縦パスで攻撃のスイッチを入れることを意識している」という配球力など持ち味は多彩。それでも「今日はミスが多かったし、このままでは優勝はできない」と自身のパフォーマンスに満足せず、2日後の決勝戦に向けて気を引き締め直していた。

 その原動力は準々決勝で青森山田高に敗れた前回大会での悔しさだ。

「去年も試合に多く出させてもらって、ベスト8で青森山田さんに負けてしまった。その悔しさは誰も忘れていない。今年はしんどいこともあったけど、日本一を獲るという気持ちだけで練習してきた」。決勝の岡山学芸館戦は全てをぶつけるビッグマッチ。名実ともに“日本一のボランチ”となるべく、「まだ優勝したわけではない。次の一戦に向けて気持ちを入れ直して戦いたい」と力強く語った。

(取材・文 竹内達也)
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