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「たまたま乗った」チームは「勝ちきれる強い」チームへ…岡山学芸館MF山田蒼が追想する日本一への道

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平清孝GAと握手をかわす岡山学芸館高MF山田蒼(写真協力=高校サッカー年鑑)

[1.9 選手権決勝 岡山学芸館高 3-1 東山高 国立]

 岡山学芸館高(岡山)が選手権で、悲願の日本一を勝ち取った。東山高(京都)との決勝で殊勲の2ゴールを挙げたのは、ボランチのMF木村匡吾(3年)。この日に限らず、高原良明監督は「本当にうちの生命線である山田と木村。この2枚のダブルボランチがハードワークできますし、攻撃のときにも掛けあがっていける、守備のときにもしっかりと戻ることができる」と中盤の底で攻守を担うボランチ2選手を高く評価していた。

 木村とともにダブルボランチを組んだのが、MF山田蒼(3年)だ。1回戦でアディショナルタイム直前の後半40分に交代した以外は、決勝を含む5試合で先発フル出場。背番号10の攻守にわたる貢献がチームへの大きな助けとなった。

 本来は2列目など攻撃的なポジションを担っていたが、今夏からはボランチを主戦場としている。「得点に絡んでいきたかったんですけど、アシストとかゴールもなかったので、ちょっと悔しいっていうがあります」と決勝でのプレーを振り返った。

 気持ちが入ったプレーも見せた。2-1とリードしていた後半35分には、敵陣左サイドのMF田口裕真(2年)に寄ってパスを受けると、ピッチを横切るようにドリブルをして、右SBのDF福井槙(3年)にボールを下げる。山田は右サイドのスペースへ飛び出すと、福井からのリターンをトップスピードで受けて中央へマイナスのクロス。しかし、FW今井拓人(3年)のシュートは枠を捉えることはできなかった。

 直後に、地面に座って足を伸ばす仕草をしていた山田は、「いままでつることは全然なかったんですけど、決勝っていうので、いつもと違う感じで。足の疲労は結構きました」と大舞台でのハードワークに想定外のアクシデントに見舞われた。それでも、「足はつってたんですけど、絶対代えてほしくなかった」。3分のアディショナルタイムも含めて最後までプレーし、ピッチで優勝決定の笛を聞いた。

 日本一まで上り詰めた選手権はどんな大会だったのか。「運がよかったと思います正直。実力もあるかもしれないですけど、たまたま乗っていって、チームとしてもどんどん良くなっていって。でもそれが自信になって」と山田は回想する。やがて「負ける気はしない」と感じられるほどの自信になった。

「強いより上手いのほうが勝ってる」と指摘されてきたチームは、シュート2本におさえられながらもPK戦で勝利した3回戦・國學院久我山戦、2度リードを許しながらも都度追いついてPK戦を制した準決勝・神村学園戦など接戦をものにしてきた。「勝ちきれる強いチームになれたのかなと思います」。山田はチームの成長を実感していた。

 個人としては「自信につながった大会」を経て、大学でもサッカーを続ける予定の背番号10は、「もっと成長して、最終的にはプロになりたい」と先を見据えた。

(取材・文 奥山典幸)
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