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国立決勝で「本当に信じられない」2発。ゲキサカ読者が選ぶ選手権MVPは岡山学芸館MF木村匡吾!

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ゲキサカ読者が選ぶ第101回全国高校サッカー選手権のMVP「GEKISAKA AWARD 2022 WINTER 高校生部門」に選出された岡山学芸館高(岡山)MF木村匡吾(3年=高槻ジーグFC出身)

 ゲキサカ読者が選ぶ第101回全国高校サッカー選手権のMVP「GEKISAKA AWARD 2022 WINTER 高校生部門」に岡山学芸館高(岡山)MF木村匡吾(3年=高槻ジーグFC出身)が選ばれた。

 選手権決勝、木村は1-1の後半7分に勝ち越しヘッド。さらに40分には右足ボレーを決め、岡山学芸館を初の日本一へ導いた。2年時にU-17日本高校選抜を経験しているボランチは、大会を通じてボールを奪う、回収する部分でも貢献度大の働き。そして、特長の一つである崩しに係る部分、決め切る力を国立決勝で発揮し、多くの票を得た。

 今回の企画は大会期間中に『ゲキサカアプリ』を使って実施。最も多くのクラップ(拍手=投票)を集めた選手を表彰するもので、木村にはゲキサカオリジナルトロフィーが授与された。

 選手権で大会優秀選手に選ばれ、日本高校選抜候補にも選出。進学する名門・駒澤大で力を磨き、大学日本一、プロ入りへ挑戦する。その木村にMVPの感想や選手権でのプレー、また岡山学芸館での3年間について、そして今後について聞いた。

―ゲキサカ読者が選ぶMVP。
「こういう賞に選ばれるのが本当初めてくらいで、自分のやってきた結果がこういう形で出たのが嬉しいです」

―サッカーファンが評価してくれた。
「自分はあまり目立つプレーヤーではないと思うので、見てくれていた方が選んでくれるのは自信になりますし、凄く嬉しいです」

―選手権優勝から少し時間が経った。
「地元(の大阪)に戻って、そこで色々な人に『おめでとう』と祝ってもらえて、凄く実感が湧いてきました」

―選手権を振り返ると?
「一試合一試合チームが良くなっていくのを感じて、自分自身も試合を重ねるごとに自信をつけれて、上手く、堂々とプレーできたのかなと思います」

―コーチに聞いた話では、イジけていたような時期があったとか。
「新チーム始まってから上手くいかない試合とか多くて、本当に自分、チームに迷惑をかけてきたと感じています」

―選手権期間中も悩んでいた。
「上手く結果という形で残せていなくて、毎試合毎試合悔しさというのもありました」

―チームは勝っていたけれど、モヤモヤしたものがあった。
「個人としての良さが全然出せていないというのがあって、悔しい感じの表情だったかもしれないです」

―もっとどのようなことをしたかった?
「1試合目からどんどん攻撃に参加してやりたかったんですけれども、相手をリスペクトしすぎて後ろめにポジションを取りすぎてしまったりとか、そういう課題が毎試合あって、悔しさがありました」

―それでもハードワークを続け、FW塩貝健人選手(國學院久我山高)や(ともに神村学園高の)FW福田師王選手、MF大迫塁選手とやり合った。
「ああいう高校生の中でトップの選手たちと対等に試合ができて、自分自身、全然やれるところもあるというのは感じれたので良い経験になりました」

―特に準決勝(対神村学園)は学芸館で培ってきたものを木村選手は発揮できていたと思うが。
「本当、自分たちのチームはスーパーな選手やスター選手がいないので、チームでやろうとして、それが結果に結びついたので、日々練習を頑張ってきて良かったとみんなで感じました」

―決勝。国立競技場はどのような空間でしたか?
「開会式と全然雰囲気が違っていて、本当に人も多くて、圧倒されたというか、最初は雰囲気に負けてしまったという感じがあるんですけれども、試合が始まってからは凄く慣れて、緊張もあったんですけれども、伸び伸びとプレーできたと思います」

―木村選手が主役になった試合だった。
「本当、この大会、ずっと点を決めたいという気持ちが強くて、まさか決勝の舞台で自分が2得点もできるなんて思ってなくて、ああいう形で自分にボールが回ってきて、恵まれているというか、そういう風に感じました」

―ゴールシーンの映像は見た?
「自分で見てもクロスが良かったなと思って、自分のところに(中尾)誉から良いボールが来て、良いところに立てていたと感じました」

―何があそこへ飛び込ませたのか?
「自分じゃあんまり分からないんですけれども、気持ちが出たというか、ああいう形で点を取れて良かったです」

―3点目が一番沸いたような印象だが。
「あの形は凄く練習していた部分でみんな『しっかりとセットプレーで点を取れるようにしよう』と言っていたので、点を取れたのはチームとしても嬉しいことですし、僕自身としても良かったです」

―国立決勝で2得点。
「本当に信じられないです」

―1年間、3年間の努力があそこに詰まっていた。
「自分がやってきたことがああいう形で出たのは頑張ってきて良かったというのもあるんですけれども、支えてきてくれたチームメートだったり、家族のことを考えたら良い恩返しができたというか、嬉しさがあります」

―決勝で2得点したことももちろん、勝てたこと、守備でも貢献できたことが何より嬉しかったのでは?
「自分の良さは守備と攻撃の両方に係ることで、大会期間中は攻撃はあまりできていなかったんですけれども、本当守備の部分ではもうひとりのボランチの(山田)蒼と一緒にチームを勝たせるためにしっかりと貢献できたのかなと思います」

―山田君とのコンビはどうだった?
「運動量多くて、自分よりも技術が高くて、本当に信頼できる相方でした」

―東山や神村学園のダブルボランチにも負けていないという証明ができた。
「技術の部分では負けていたと自分では思うんですけれども、気持ちの部分や最後まで走る力だったり、そういう部分ではしっかり勝つことができたというのは凄く感じています」

―後輩たちに国立はどういう場所だよ、どういう準備をした方が良いよ、と伝えたい?
「自分たちが優勝してプレッシャーはあると思うんですけれども、経験した2年生がいる中でそういう選手たちが『もう一回、あの舞台に立ちたい』という強い気持ちを出してくれたら、本当に良い選手が多いので行けると思います」

―選手権の決勝でヒーローに。入学した時から思い描いていたかもしれないが、それを実現できた。
「全国大会に出たいという気持ちで入学してきて、決勝で勝てるなんてそんな考えてもなくて、今年の目標もベスト4という目標から始まりました。3年間、本当に思い返してみて、この3年生たちと頑張ってきて良かったというのが強いです」

―3年間、このグラウンド、寮で頑張ってきた。
「環境がここは本当に良くて、自主練だったりできる場所で、この環境があったから自分は(個人として)成長できて、仲間とともに成長できたというのがあります」

―朝起きてすぐ練習ができる。
「朝練はあまりしていなかったんですけれども、練習終わりだったり、オフの日にここにボールを蹴りにきたりとか。寮がすぐそこなんで、いつでもボール蹴れるという環境だったので成長できたと思います」

―この環境に憧れてきたのもある?
「環境も良かったので、成長は自分次第というのがあるんですけれども、(岡山学芸館へ行けば)絶対に成長できるというのはあります」

―先生方はどのような方々でしたか?
「自分には優しかったです。厳しい時もあったんですけれども、良い印象が強いです」

―新チームになった当初は苦しんだ。
「去年のチームを超えるという焦りだったり、プレッシャーもあって。自分が『一番経験がある』と先生にも言われていて、そのプレッシャーだったりで自分のプレーも全然できなくなって、新チーム当初は凄く苦しかったというのがあります」

―どう立て直してきた?
「キャプテンの(井上)斗嵩だったり、みんなが本当に自分に優しい声がけだったりしてくれて、『自分がウジウジしている暇はない』という自覚も芽生えて、『やるしかない』という気持ちで『みんなのためにも頑張ろう』と凄く思いました」

―大阪を離れての3年間。
「決勝まで行けたというのは本当に充実した3年間だったと思います」

―オフの日はどう過ごしていた?
「月曜日が基本オフなんですけれども、学校終わってこっち戻ってきて、ボール蹴るか、学校終わってそのまま治療行ったりとかあまり遊んだりはしていかなかったです」

―寮の近くでオススメのお店は?
「最近だったらすき家ができて……『(マル)バン』というラーメン屋さんがあって、チャーハンが美味しかったです」

―自宅に戻って、ご家族に声をかけられた?
「『岡山に送り出してくれて、ありがとう』とか伝えられました」

―言葉ももらえたのかな?
「『本当に頑張ったね』と。お母さんが特に喜んでいて、恩返しできたという実感がある。凄く嬉しかったですね」

―ここからまた新しい目標へ向かってスタートを切る。
「大学に入ってまた1からのスタートという形で努力をしっかりと続けて、1年生からトップチームに絡めるような選手になりたいなと凄く思っています」

―駒澤大学は伝統のあるチーム。現在の手応えは?
「自分のプレースタイルと凄く合っていると感じているので、自分の良さが1年生から出せたらなと思っています」

―U-17高校選抜で一緒にプレーした中にプロへ行く選手もいる。追いつくことも目標。
「本当に高校選抜でいろいろな選手に違いを見せつけられた部分もある。でも、この4年間で絶対に追いつけないという感じではなかったので、本当にこの4年間が勝負だなと思っています」

―どのような選手になって4年後を迎えたい?
「守備はこのまま継続して、運動量もこのままで、もっと攻撃で自分が試合を組み立てたり,(崩しに絡んだり)する選手になりたいです」

―特に取り組んでいきたいこと。
「攻撃の部分で自分が出し手になって、試合を展開できたり、ゲームの中心選手になりたいです」

―東京での生活が始まる。
「いろいろな誘惑があると思うんですけれども、しっかりと真摯にサッカーと向き合っていきたいと思っています」

―岡山に素晴らしいものを残せた。
「パレードに行った時も岡山の人らが凄く歓迎してくれて、凄く喜んでくれていて、本当に僕たちが成し遂げたことで岡山に恩返しできたと凄く感じました」

―地元へ戻ったときもコーチに挨拶はできた?
「はい。地元の(高槻)ジーグに挨拶へ行って歓迎されて嬉しかったです。(後輩たちに)『頑張って』みたいな声をかけました」

―今後、学芸館がより強くなっていくことを期待している。
「自分たちが結果を残せたことで、後輩たちや中学生たちに刺激を与えられて、学芸館がどんどん強くなって行ってくれたら嬉しいです。本当に高校選びに迷っている中学生の方がいたら、環境も良くて、先生も自分に真摯に向き合ってくれる。絶対に成長できると思うので、高校選びに迷ったら学芸館をオススメします」

―木村選手のことを注目してくれるゲキサカ読者の方々へ向けたメッセージもお願いします。
「大学でも全力で今以上に頑張って行くので、自分のことを応援し続けてもらったり、応援してもらいたいです。大学でもっと成長して、プロの世界で活躍できるように頑張っていきたいと思っています」

★ゲキサカアワード歴代受賞者
●2022 SUMMER 高校生部門:
MF徳永涼(前橋育英3年)/受賞インタビュー
●2021 WINTER 高校生部門:
MF松木玖生(青森山田3年)
●2021 WINTER 大学生部門:
FW土信田悠生(駒澤大4年)/受賞インタビュー
●2021 SUMMER 高校生部門:
MF松木玖生(青森山田3年)/受賞インタビュー
●2020 WINTER 高校生部門:
GK熊倉匠(山梨学院3年)/受賞インタビュー
●2020 WINTER 大学生部門:
FW砂金大輝(東海大4年)/受賞インタビュー
●2019 WINTER 高校生部門:
MF小山尚紀(静岡学園3年)/受賞インタビュー
●2019 WINTER 大学生部門:
MF中村健人(明治大4年)/受賞インタビュー
●2019 SUMMER 高校生部門:
FW西川潤(桐光学園3年)/受賞インタビュー
●2018 WINTER 高校生部門:
FW染野唯月(尚志2年)/受賞インタビュー
●2018 WINTER 大学生部門:
FW上田綺世(法政大2年)/受賞インタビュー
●2018 SUMMER 高校生部門:
FW西川潤(桐光学園2年)/受賞インタビュー
※所属と学年は当時

(取材・文 吉田太郎)
▼関連リンク
●【特設】高校選手権2022

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