[選手権]「強い駒場を取り戻す」。流動的な全員守備・全員攻撃で勝負の都立駒場が1-0で3回戦進出:東京A
[10.13 選手権東京都Aブロック予選2回戦 駒場高 1-0 星槎国際高八王子 清瀬内山Cコート]
強い都立駒場を取り戻す――。13日、第104回全国高校サッカー選手権東京都Aブロック2回戦で都立の強豪・駒場高と創部3年目の星槎国際高八王子が対戦。駒場が1-0で勝ち、3回戦進出を決めた。
前半、駒場はボールを保持しながら攻めて主導権を握った。だが、横溝大輔監督は「早めにボールを離しすぎて、ゴールまで行けていない部分があったので、もうちょっといい判断ができていれば、決定的な場面は前半で作れたなっていうのはありましたけれど」と指摘する。
DF板坂元太(3年)が再三DFラインから大きく攻め上がって崩しに係わり、ワンツーから左足シュートも。また、MF島田蒼市(2年)がインターセプトから左足シュートを狙うシーンなどもあった。だが、アーリークロスを跳ね返されたり、距離のあるシュートをブロックされるような場面が増えてしまう。


「もう1個仕掛けて、相手が食いついたところをマイナスの選択にしたり。少しみんなも初戦で緊張があったのかもしれないですけど」と横溝監督が分析したように、相手が嫌がるような攻撃を増やすことができなかった。
星槎国際八王子は守備の時間が長くなる展開もCB古屋慧乃輔(3年)やCB永田幸大(3年)らがシュートブロックを連発。左SB加賀谷隼輝(3年)が身体能力の高さを活かして相手の攻撃を跳ね返すなど0-0で前半を折り返すと、後半開始直後にビッグチャンスを迎える。FW粟沢安泰(3年)やMF冠木陽士(3年)がゴールを脅かしたが、守備範囲の広い駒場GK五十嵐輝(3年)がビッグセーブで立ちはだかった。




今年の駒場は選手たちの特性を活かし、流動的にポジションを入れ替えながら戦っている。繰り返し前線へ上がるDF板坂が特に目立つが、各選手が繋がりながら、賢く且つ活動量を持ってポジショニング。全員守備・全員攻撃で相手との差を生み出している。
DF佐藤功佑主将(3年)は「(今年は)前でボールが持てる選手が多かったので、それプラス、自分たちの強みである全員攻撃・全員守備ってことを意識して。最初は難しいところもあったんですけど、遠征、合宿とずっと1年間これをやり続けて、駒場らしく『走れ、競れ、粘れ』でずっと走れる体力があるってことも、このサッカーが継続できる理由かなと思います」と説明する。
その佐藤は「自分しかない強みを出そうと思って。自分は走れるっていうことは1つ強みだと思っているので、そこを活かして攻撃参加もできたら」と3バックの右サイドからロングスプリントや的確なカバーリングをするなど攻守に関与。チームを統率するDF陣内耕(3年)や技術力の高いMF中村豪(3年)、MF安藤英大(3年)らがバランスを取り、板坂や島田、右WB今西暁(2年)らが生み出したスペースを突く形でシュートやラストパスに持ち込んだ。




迎えた後半24分、駒場は左スローインの流れから板坂が鮮やかな右足コントロールショットを決めて先制。スーパーゴールを決めた板坂の下に駒場の白いユニフォームが駆け寄り、喜びを爆発させた。


星槎国際八王子も前にパワーをかけ、MF花枝絢(3年)らがサイド攻撃、セットプレーで駒場ゴールをこじ開けようとする。だが、駒場が守り切り、1-0で勝利。成立学園高との3回戦へ進出した。昨年度の1次予選敗退を乗り越え、2年前と同じ2次予選3回戦進出。“強い時代”の先輩たちの映像も見てきたという佐藤は「自分たちが見てきたところを越していくところと、『強い駒場を取り戻す』ってところをもう一回意識してやっていきたいです」と力を込めた。


駒場は横溝監督が高校3年生で主将を務めていた1997年度に選手権初出場。2010年度大会にも私学勢を打ち破り、2度目の選手権出場を果たしている“都立の星”だ。横溝監督はコーチとしても長く駒場に携わり、他校での指導を経て昨年から母校の監督に。駒場は2014年の関東高校大会で都立勢唯一の優勝を果たす快挙を成し遂げているものの、全国舞台、選手権予選4強からも遠ざかっている。
「目指したいですね。昔のように」と指揮官。試合後には「流れを見て、時間帯も考えたプレーができるように、次回に向けて、課題を伝えました」と選手たちにアドバイスを送っていた。
個々の力、経験値など私学の強豪校に劣る部分があることは確か。それでも、佐藤が「ポテンシャルがずば抜けてあるってやつはいないんですよ。でも、そのために生まれた全員守備、全員攻撃っていうところと、応援もB、C関係なく、勉強で6月引退したメンバーも、同じ部活ではない人も数多く来てくれたんで、そこが一つの強み」という力も持って、駒場は東京での戦いにチャレンジする。


(取材・文 吉田太郎)
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強い都立駒場を取り戻す――。13日、第104回全国高校サッカー選手権東京都Aブロック2回戦で都立の強豪・駒場高と創部3年目の星槎国際高八王子が対戦。駒場が1-0で勝ち、3回戦進出を決めた。
前半、駒場はボールを保持しながら攻めて主導権を握った。だが、横溝大輔監督は「早めにボールを離しすぎて、ゴールまで行けていない部分があったので、もうちょっといい判断ができていれば、決定的な場面は前半で作れたなっていうのはありましたけれど」と指摘する。
DF板坂元太(3年)が再三DFラインから大きく攻め上がって崩しに係わり、ワンツーから左足シュートも。また、MF島田蒼市(2年)がインターセプトから左足シュートを狙うシーンなどもあった。だが、アーリークロスを跳ね返されたり、距離のあるシュートをブロックされるような場面が増えてしまう。


星槎国際八王子はCB永田幸大主将(右)らがシュートブロックを連発
「もう1個仕掛けて、相手が食いついたところをマイナスの選択にしたり。少しみんなも初戦で緊張があったのかもしれないですけど」と横溝監督が分析したように、相手が嫌がるような攻撃を増やすことができなかった。
星槎国際八王子は守備の時間が長くなる展開もCB古屋慧乃輔(3年)やCB永田幸大(3年)らがシュートブロックを連発。左SB加賀谷隼輝(3年)が身体能力の高さを活かして相手の攻撃を跳ね返すなど0-0で前半を折り返すと、後半開始直後にビッグチャンスを迎える。FW粟沢安泰(3年)やMF冠木陽士(3年)がゴールを脅かしたが、守備範囲の広い駒場GK五十嵐輝(3年)がビッグセーブで立ちはだかった。


星槎国際八王子の左SB加賀谷隼輝が相手を止め切る


駒場GK五十嵐輝は守備範囲の広さと鋭い反応でゴールを死守
今年の駒場は選手たちの特性を活かし、流動的にポジションを入れ替えながら戦っている。繰り返し前線へ上がるDF板坂が特に目立つが、各選手が繋がりながら、賢く且つ活動量を持ってポジショニング。全員守備・全員攻撃で相手との差を生み出している。
DF佐藤功佑主将(3年)は「(今年は)前でボールが持てる選手が多かったので、それプラス、自分たちの強みである全員攻撃・全員守備ってことを意識して。最初は難しいところもあったんですけど、遠征、合宿とずっと1年間これをやり続けて、駒場らしく『走れ、競れ、粘れ』でずっと走れる体力があるってことも、このサッカーが継続できる理由かなと思います」と説明する。
その佐藤は「自分しかない強みを出そうと思って。自分は走れるっていうことは1つ強みだと思っているので、そこを活かして攻撃参加もできたら」と3バックの右サイドからロングスプリントや的確なカバーリングをするなど攻守に関与。チームを統率するDF陣内耕(3年)や技術力の高いMF中村豪(3年)、MF安藤英大(3年)らがバランスを取り、板坂や島田、右WB今西暁(2年)らが生み出したスペースを突く形でシュートやラストパスに持ち込んだ。


駒場の10番MF中村豪はバランスを取りながら、技術力も発揮


駒場DF佐藤功佑主将は右サイドでのロングスプリントなど走ってチームに貢献
迎えた後半24分、駒場は左スローインの流れから板坂が鮮やかな右足コントロールショットを決めて先制。スーパーゴールを決めた板坂の下に駒場の白いユニフォームが駆け寄り、喜びを爆発させた。


後半24分、駒場DF板坂元太(左)が先制ゴール
星槎国際八王子も前にパワーをかけ、MF花枝絢(3年)らがサイド攻撃、セットプレーで駒場ゴールをこじ開けようとする。だが、駒場が守り切り、1-0で勝利。成立学園高との3回戦へ進出した。昨年度の1次予選敗退を乗り越え、2年前と同じ2次予選3回戦進出。“強い時代”の先輩たちの映像も見てきたという佐藤は「自分たちが見てきたところを越していくところと、『強い駒場を取り戻す』ってところをもう一回意識してやっていきたいです」と力を込めた。


駒場は相手の反撃をDF陣内耕中心に封じた
駒場は横溝監督が高校3年生で主将を務めていた1997年度に選手権初出場。2010年度大会にも私学勢を打ち破り、2度目の選手権出場を果たしている“都立の星”だ。横溝監督はコーチとしても長く駒場に携わり、他校での指導を経て昨年から母校の監督に。駒場は2014年の関東高校大会で都立勢唯一の優勝を果たす快挙を成し遂げているものの、全国舞台、選手権予選4強からも遠ざかっている。
「目指したいですね。昔のように」と指揮官。試合後には「流れを見て、時間帯も考えたプレーができるように、次回に向けて、課題を伝えました」と選手たちにアドバイスを送っていた。
個々の力、経験値など私学の強豪校に劣る部分があることは確か。それでも、佐藤が「ポテンシャルがずば抜けてあるってやつはいないんですよ。でも、そのために生まれた全員守備、全員攻撃っていうところと、応援もB、C関係なく、勉強で6月引退したメンバーも、同じ部活ではない人も数多く来てくれたんで、そこが一つの強み」という力も持って、駒場は東京での戦いにチャレンジする。


駒場が1-0で勝ち切り、3回戦進出
(取材・文 吉田太郎)
●第104回全国高校サッカー選手権特集
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